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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためだけじゃないクルマ絵本ライブラリー

デザイン&リーズン

Posted by papayoyo on   4 comments   0 trackback

デザイン&リーズン

今年の春先だったかな。槇原敬之さんの新しいアルバム評に目が留まった。だってそのアルバム『デザイン&リーズン』(Sony Music Marketing)のデザインを見て、このブログを管理する俺がアイキャッチしない訳がない。山本忠敬さんの絵本『ずかん・じどうしゃ』が採用されているんだもん。マッキ―こと槇原敬之も好きなミュージシャンだから買おう買おうと思って今までになってしまった。で、消費税UPの直前にAmazonでポチっと。10月になって届いたCDを開封し、ある朝の通勤時に聴こうといつものように愛車に乗り込んだ。私の出勤時間は早い。もうこの時期になると朝5時半なんてだいぶ薄暗くなってきた。その日はとても天気の良い清々しい朝で、空もほのかに白んでいた。シートに腰を下ろし、真新しいディスクをCDスロットに挿入する。静寂の中から流れて来たテイク1は《朝が来るよ》という曲だった。まさに眼前のシーンにピッタリ。五十路を前にした男が、ハンバーガー屋でコーヒーを買って車の前でまだ薄暗い朝の風景を見つめている。自分が想像もしなかった50歳かとこれまでの人生を振り返る。良いコト悪いコト色々あったのだろう。これから迎える50代に少し不安を覚える。でもどんなに心配したところで時間は止められない。ならば、前向きに楽しいコト、やりたいコトを自分の信じるままにやればいいじゃないか。昇り始めた朝日がそんな自分の背中を押してくれるような気がした。そんな感じの歌詞なのだが、私も定年を数年後に控え、仕事のコト、様々な問題を抱える会社のコト、入院中の高齢の父のコトなどなど不安を抱える今日この頃だったし、自分の心情と目の前の風景が歌詞と見事にシンクロしてとても感動を覚えたんだ。メロディもいい。さすが槇原敬之の心象表現は天才的だとしみじみ聴きながらクルマを走らせると、突然涙がボロボロこぼれて来た。確かにジーンとくる名曲なのだが、ここまで涙腺緩くなるなんて俺も歳だなあと勤務先へ向かった。父が息を引き取ったのはその日の夕方だった。




母が亡くなって今年でちょうど10年。子供は俺一人だから、10年間父は独り故郷・福岡で暮らし続けた。妻に先立たれた夫は…とはよく言われるが、あの大きな戦争も経験し卒寿までよく生き抜いたと思う。今話題になっている高齢運転者の事故だけど、5年くらい前に近所を運転中にクルマをよく擦るようになったと聞いて免許返納をアドバイスした。最初は抵抗したが、お互い技術屋なのでリスクについて科学的根拠なども提示しながら理詰めで説得を続けると、意外とすんなり返納に応じた。お袋ともよくドライブをしていた愛車を手放す時はさすがに悲しそうだったけどね。それからだろうか、身体機能や認知機能が急激に衰え始めたのは。3年前には自宅で死にかけて危うく”警察沙汰”になるところだったが、偶然が重なり奇跡的に助かる。その後は介護サービスなどを使って何とか独居生活を続けて来た。父とは高齢者生活に関する考え方の違いで常に喧嘩だったけどね。今年に入って春先に誤嚥性肺炎で緊急入院をし、命の危険もあったが、またもや医師も驚く回復力で退院。その後何とか説得して介護付老人ホームへの入居に漕ぎつけて周囲も安堵したのもつかの間、1ヶ月強をホームで過ごした後、再び入院生活となった。今度は腎臓病で最後はきつい透析も受けながら何とか頑張っていた。亡くなる数日前には腎臓の数値に回復の兆候がみられると主治医から報告を受けたばかりで3度目の正直もあるかもと少し期待もした。死期が近づいた人には急に元気になる「最後の回復(英語では“last rally”という)」現象がよくみられるそうで[1]、“回復の兆し”はそれだったのかもしれない。やはり長い入退院の繰り返しで90年酷使した身体は限界だったのだろう。

まさかの”ダットさん”
ディスク取ったらまさかの”ダットさん

槇原敬之さんによれば、「すべての事象・人・物はすべからく何か意味をもって現れているのではないか」それが今回のアルバム『Design & Reason』のテーマになっているという[2]。このクルマ絵本好きにもたまらないアルバム・ジャケット(ブックレット)のデザインは、前作『記憶』に引き続きBEAMSクリエイティブの竹中智博氏が手掛けたそうだ。槇原さんはBEAMSなので絶対洋服で来ると思っていたら意外にもクルマでびっくり。竹中氏に理由と問うと、「『Design & Reason』を人間じゃないものに置き換えたらなんだろうか?と考えたら車だった。除雪車は、ゴミ収集車は、スポーツカーは、その形になる理由があると言うアルバムコンセプトにぴったりだった」と。それで皆がなじみのある山本忠敬さんの絵本『ずかん・じどうしゃ』(絵本とは表紙・裏表紙のデザインを逆にしている)と『はたらくじどうしゃ 2』(ブックレット内のイラストに引用)からイラスト引用の許諾も得て、このアルバムデザインは完成した。

ずかん・じどうしゃ表 ずかん・じどうしゃ裏
オリジナルの『ずかん・じどうしゃ』:アルバムは絵本のタイポグラフィ・デザインもコピーして凝った作りになっている
はたらくじどうしゃ2
『はたらくじどうしゃ2』

加えてもう1つ「神様と一緒に企てたこととその理由」っていう意味もこのアルバムには込めているという[3]。Designには“企てる”という意味もある。人間のデザイン、つまり人がこの世に生まれてくることにもすべて企てと理由があると。これから起こるであろうことも、自分が人間として生まれてくるときに、前の自分ではできなかったことをやろう、一歩でも前に進もうと神様と一緒に企てて人は生まれてくるのではないかという結構スピリチュアルな発想だ(もう草やってないよね…)。始まりが神との企てならば、終わりのデザインも最初の企てに計画されているのだろうか。

今にして思えば、亡くなった日の朝の涙は、虫の知らせだったのかもしれない。母が闘病中は父に任せてほとんど何もしてやれなかったし、母が亡くなった際に本気なのか冗談なのか「これからの俺をお前はどうしてくれる」と言われたときの言葉がずっと頭の隅に引っかかっていた(「愛別離苦」)。父が倒れてからは子として落とし前をつける意味でもできる限りサポートしようと横須賀と福岡を行き来する機会が増えた。ていうか俺しかいないからね(福岡の親戚やご近所にはずいぶん世話になったけど)。仕事も家庭も抱えてだから(特に今年は子ども2人の受験もあったし)正直しんどかった。そんな状況も知っていたから帰省する度に「いつも悪いなあ」と言っていた父。だから「もういいよ、十分やってもらった。これからは家族のコト、自分のコト、自分の思うようにやればいい」と最後のエールを送って来たのではないかと思えたんだ。好きだった音楽にのせてね。

このアルバム、いろんな意味で私にとって生涯忘れられない作品になった。槇原さん、ありがとう!さて、これからの人生のデザイン、どうすっかなあ。

マッキーとダットさん



[参考・引用]
[1]「人生の最期」の7日間に起きる知られざる現象 名医が教える「ご臨終」の不思議な世界、東洋経済ONLINE、2019年10月8日、
https://toyokeizai.net/articles/-/306410
[2]【スペシャルインタビュー】槇原敬之、ニュー・アルバム『Design & Reason』を語る。、radiko news、2019年1月31日、
https://news.radiko.jp/article/station/BAYFM78/30258/
[3]槇原敬之 50歳を目前に放つ言葉の魔法、高岡洋詞、音楽ナタリー、
https://natalie.mu/music/pp/makiharanoriyuki
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Comment

つかりこ says... "お悔み申しあげます"
そうだったんですね!
お悲しみ、いかばかりかと・・・

ウチも2015年をもって、両方ともいなくなってしまい、
しばらく胸に空洞ができたような日々が続きました。
でも、きっとお父上もお母さまも、
papayoyoさんが元気でご活躍されるのが
一番うれしいのだろうと思います。
それが一番の弔いになるのだと。

素敵なライフデザイン、なさってください!
2019.10.14 16:48 | URL | #- [edit]
papayoyo says... "Re: お悔み申しあげます"
つかりこさん
ご丁寧にありがとうございます。
まだ実感があまりないですが、自分の存在の元が完全にいなくなるということは大きな喪失感がジワジワ来るのでしょうね。
8月の夏休みに久しぶりに成長した孫二人を会わせられたのは良かったかなと。
戦争を経験した親世代や死闘を繰り広げたラグビー選手、被災者に比べれば、己の不平不満、苦労なんてちっぽけなもの。
この歌のように前を向いて進まなきゃね。
2019.10.14 17:57 | URL | #- [edit]
SDTM says... ""
☆ NHK SONGSで「槇原」さんのカバー特集があり
  ユーミン「Hello Friend」を聴いて、いいなぁ~と思っていたら
 どこかで「槇原」さんの記事があったなぁと思い出し、この記事に
 辿りつきました。(笑)
 アルバム『Design & Reason』 全曲は聴くまでは至ってませんが、
 「キボウノヒカリ」はいい曲だなぁと感じています。
 取り急ぎ(大笑)
2019.11.04 11:47 | URL | #/ZyVyp1I [edit]
papayoyo says... "Re: タイトルなし"
>  「キボウノヒカリ」はいい曲だなぁと感じています。
この曲の歌詞、
-勝手に目盛りをつけて限界を決めたとしても楽なのは自分だけだ
-諦めない心には必ずひらめきやアイデアが思いつく
がちょうどラグビー日本代表チームとノーベル賞の吉野博士の生き様に聞こえました。博士が「課題が山積みなのはチャンス」みたいなことをおっしゃっていましたけど、最近(どうせこの世は闇だと)社会や会社に愚痴ばかり出る自分にハッとしました。
-(本当の闇が)あるならきつく目を閉じてる僕らの中にだけだ
ドキッとする曲です。
2019.11.04 21:24 | URL | #- [edit]

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