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Dirty Mary Crazy Larry(2)―運転免許制度は正しく機能しているのか―  

アバズレ・メリー/キチガイ・ラリー
出典:.rottentomatoes.com

そういう映画なんで今回は少々品悪く。前回紹介した“Dirty Mary Crazy Larry”をそのまま訳せば「アバズレ・メリー/キチガイ・ラリー」とでもなるのだろうか。「キチガイ」は放送禁止用語らしいが、“言葉狩り”というのか、このような過度の反応に対してはクレームを付ける側にも自主規制する側にも正直辟易する(アバズレもNGなんかな?)。キチガイはダメでクレイジーはいいのか?クレイジー・キャッツ(古いね)やクレイジーケンバンドも放送禁止なのか?実は英語のcrazyにはポジティブな意味合いも含まれる。“crazy and cool(イカれててイカしてる)”とか”crazy people wanted!(クレイジーな人材求む!)”とかね[1]。『我ら“クレイジー☆エンジニア”主義!』(講談社BIZ)なんて書籍もあるほど。ピーター・フォンダが主演の本作や『イージー・ライダー』のように1960年代後半から70年代半ばにかけてハリウッドで起こった「アメリカン・ニューシネマ」のムーブメントの歴史を調べると、この映画に“crazy”を使う時代背景が見えてくる。

俺たちに明日はない
始まりはここから『俺たちに明日はない(原題”Bonnie and Clyde”)』(1967)
出典:ELLE girl


時計を1920年代まで巻き戻す。当時のアメリカはまさにバブル絶頂期で風紀も乱れに乱れていた(「狂騒の20年代(Roaring Twenties)」というらしい[2])。映画界もギャング映画など暴力やエロ表現のキツイ映画が大量に生産されていた。バブルが弾けた1929年の世界大恐慌の頃を境に、カトリック団体や保守系の人たちがその惨状に圧力をかけ始めた。こりゃまずいと思ったアメリカ映画界や映画人は、1930年代頃から「ベイズコード」と呼ばれる犯罪・暴力・性的表現、反体制賛美なんかを細かく分類し禁止する自主規制を行うようになったという。おかげで40年代のハリウッドは黄金時代として盛り上がったものの、50年代からは新しいメディア、テレビの台頭により凋落の一途を辿る。一方、50年代末期からパリのヌーヴェルヴァーグやロンドンのフリーシネマ、そして日本の黒澤等々、世界じゅうでニューシネマ運動が起きていた。アメリカも例外ではなかったが、新しいムーブメントに火を付けたのが60年代末期のベトナム戦争。テレビのニュースで戦場のリアルな現場が映し出され、虚飾の世界だった映画界は一気に求心力を失っていく。そんでもって「ベイズコード」以来タブー視されていたテーマや映像表現が、若い映画人を中心に実験的に行われるようになり、広がりを見せた。そして社会の不条理に虐げられた若者や、反体制・反権力・反社会のアンチ・ヒーローを主役に据えた映画が次々に作られ、若者を中心に大きなムーブメントとなったのが「アメリカン・ニューシネマ」ブーム。つまり、現体制をぶっ壊す主人公に若者の社会への不平不満を自己投影していたんだね。血の気の多い連中は、警官に石でも投げつけていたんだろうが(団塊世代の私の最初の上司はそれ系の人w)、そんな過激なことができない大半の若者は、映画の中で鬱憤を晴らしていたに違いない。ムーブメントの頃は単に映画好きのお子ちゃまだった私が、巷の情報を咀嚼するとざっとこんなところかな[3][4][5]。

このような背景を知ると、ラリーは体制側(警察)を翻弄するアンチ・ヒーローとしての役回りであることがわかる。だからラリーは“crazy(and cool)”でなければいけなかった。その愚弄される警察側に「コンバット」、すなわち軍人のヒーロー、ヴィック・モローを配する当たりも計算ずくなのだ、きっと。しかし、強盗を犯した言い訳がましい理由は語るものの、ラリーの憂さの晴らし方は贔屓目にみてもチンピラのそれで、ガキの頃何となくカッコいいと興味を持ったこの映画の主人公たちは、今観ればクレイジーではなくただのバカかキチガイと表現した方がピッタリ来る。“Dirty Mary Crazy Larry”のネタバレになるが、「アメリカン・ニューシネマ」のエンディングの特徴がそうだったように、警察を嘲り笑うように逃走に成功したかにみえたラリーたちの最期はあっけない。この映画界のムーブメントは世界じゅうで巻き起こった学生運動のピークから衰退の時期とも重なる。結局、体制や権力に立てついたところで無力という世間の空気感も表現していた。

Dirty Mary Crazy Larry2
アンチ・ヒーローに弄ばれる”サンダース軍曹”(”Dirty Mary Crazy Larry”より)
出典:MIDNIGHT ONLY


そんな一時期アンチ・ヒーローの象徴であったピーター・フォンダが鬼籍に入られた最中、この映画さながらの男女が世間を騒がせた。既に逮捕されたため、巷の情報合戦も下火にはなったけど、この夏一番注目された“イカれた”二人。以下彼らのことを「浪花のメリー&ラリー」と呼ぶ。

「浪花のメリー&ラリー」の件は取り調べ中だし、ニュースの記事だけの情報なので本当のところはわからないが、散々流れた動画を見る限り、常軌を逸した理解不能の行動としか言いようがない。権力に対する反抗ならばまだしも、無抵抗の弱者への脅迫(あおり運転は脅迫罪ですな)・暴力は本家ラリーも霞むほどの腐れ外道である。逮捕直前まで往生際は悪かったが逮捕後はしおらしくなっちゃって、裁判での印象を少しでもよくするための戦術ではないかとも思えてしまう。彼は高学歴だし狡猾な男のようにもみえるからだ。こういう輩は一生免許剥奪をという意見も上がるが、実は日本の現行法ではそれが無理なようだ。渋谷の高齢者事故以降、認知や身体機能の衰えた高齢者から強制的に免許を取り上げるべきという議論もあるけれども、コトの本質はそれらも含めて多くの自動車運転不適格者に免許が交付されている現状である。

あおり運転ポスター
子どもにこんな交通安全ポスターにまで描かれちゃって・・・
出典:まいどなニュース


人の命を預かるマシンの操縦許可にしては、あまりにも安易に免許が交付されてはいないかという疑問は以前から抱いている。飛行機はもっと厳格だろうと思っていたが、職業パイロットでもない限り、カネはかかるが実は試験はそれほど難しくないのだという(アメリカの学科試験はすべて公開された問題の中から出題されるって・・・)[6]。クルマはヒコーキ以上に生活必需品だし、多くの利用者が存在することを考えれば、細かく厳格に適正試験を行うのは現実的に難しいのだろう。免許の取得条件を厳しくすれば、現代の経済基盤となっている自動車産業にも大きく影響するといった大人の事情もあるのだろうし、[7]によれば日本には交通反則通告制度というものがあって、このシステムにより結果的に事故や交通違反が多くなるほど交付金が沢山もらえて警察利権が潤う、つまり事故が減ると警察は困るという本末転倒の仕組みが諸悪の根源との批判もある。日本の司直は「無免許運転でも進行を制御する技能を有する場合、危険運転に当たらない」と解釈するくらいだから(「拡大解釈」参照)、この国の交通法制度はどこかおかしいのだ。

これだけ危険な事故や悪質な違反が続けば、免許制度そのものを原点から見直すべきだろう。今回の「浪花のラリー」の件で、国会でも「あおり運転罪」の新設が協議されているようだが[8]、いくらアウトプットを法律で厳しく管理しようが、インプットが緩ければ、いくらでも同様のキチガイ=厳罰なんて怖くないドライバーが生産され続ける訳だし、そんなドライバーが公道に出てしまってはもう遅いのである。クルマの知能化、電動化のように自動車の技術や使われ方が100年に一度の大転換期を迎えているのだし、ちょうどよいタイミングだと思う。交通戦争[9]といわれた昭和30年代から40年代と比較すれば、自動車事故による死亡者数も大きく減少はしたとはいえ、それでも今なお国内では年間3500人以上、世界ではなんと130万人の方が亡くなっているのである[10]。アメリカで銃乱射事件が起こるたびに、なぜ銃の規制ができないのか?と多くの日本人は憤るが、自動車だって銃と同じように時に一瞬で多くの人命を奪う凶器となる。「人を殺す道具」になり得るという点では、銃も自動車も一緒なのだ。にも関わらず、自動車の所持と操縦は、国内においては銃の規制よりも緩く、簡単な基礎知識と実技試験だけで誰でも免許が取れてしまうし、カネさえあれば自由に高性能車も所持できてしまう。そして一回取得してしまえば、大半の人はほぼ一生その“凶器”の運転が許可される。劇薬だったら管理ルールが相当厳しいし、こんな製品はどこを探しても見当たらない。


自動運転車がハッキングされれば完全なる凶器
自動運転の到来で誰もがテロリストになれる時代に?
車の「乗っ取り」が現実に−日本車のハッキング実験成功 海外ではリコールも




我々ドライバーはその自動車のリスクをどれくらい客観的に理解できているだろうか。運動方程式で支配される自動車挙動の力学をほとんどのドライバーは理解していないだろう。自動車開発エンジニアの必要とする知識とは言わないまでも、例えば安全に停止できる車速と車間距離の関係のような、高校生レベルの物理で理解できる知識ですら、多くの人は「わたし数学苦手、物理苦手!」と言って拒絶反応を示すに違いない。そういう人たちがフツーに路上で自動車を操っているという事実。「浪花のラリー」の動画には、高速道路走行中の大型トラックの前方で急ブレーキをかける様子が映し出されていたが、これは運動エネルギーの大きいトラック側に追突されて容疑者たちの方があの世行きになる可能性の高かった危険行動だ。そもそも高速道路のど真ん中で降車するなんて、メリー&ラリーと違って命あることを二人は神に感謝すべきだね。また道路を走っていると、時折ワンボックスカーに乗せた子どもをウォークスルーで自由に歩かせている光景を見ることがあるが、慣性の法則(運動の第一法則)をちゃんと理解していれば、恐ろしすぎて絶対にできない行為だ。それでも一般道で走行中の後席シートベルト着用率はいまだに4割以下(高速道で7割強)なのだとか[11]。運動量保存則や力学的エネルギー保存則を理解していれば、公道をバカのように飛ばすことにブレーキがかかるだろう。半自動運転の時代に突入しているが、どういうメカニズムで自動走行が実現できているのか、何が出来て何が出来ないのか、自動運転技術の基礎知識なしに手放し走行も許しちゃってよいのだろうか。電気自動車を運転するならば強電系の知識はいらないのだろうか。

交通事故を減らすためにも理系離れを食い止めるためにも、クルマを利用する人たちが「自動車の科学」を学ぶことは重要。ちょっと参考になるような情報をいくつか。
物理の法則を用いた解説書 〜『NEWTON BRAKE』
運転の力学を教材とした高等学校物理の実践
自動車物理学ノート



後席シートベルト未装着の物理学




かくいう私だって、クルマの構造や機能を隅から隅まで理解している訳ではない(「車のお勉強」と称していくつか技術的な記事も書いてきましたが)。ましてや自動運転車なんて。でもクルマのハンドルを握る上で、その道具の原理や特性を正しく理解し、日々進歩する最新技術も常にインプットしていなくて本当に良いのだろうかと自問することはある。そう考えると極端な話、自動車運転免許の試験では、自動車の構造や原理のみならず、それらを理解するための最低限の数学や物理学、化学(リチウムイオン電池とか)の知識も問うべきではないかと。自動運転機能の付いたクルマを運転するのであれば(完全に自動運転のサービスにゆだねる乗客として利用する場合は別として)、自動運転専用の特殊免許を課すべきだと個人的には思っている。理系科目苦手な人からは大ブーイングだろうけどね(笑)。


永ちゃんはプロパイの原理、理解してはるのかなあ・・・


とはいっても頭でっかちでは適切な運転はできない。当然ながら運転技能あってこその知識である。「浪花のラリー」でなくても、もし前方のクルマが急ブレーキをかけた場合、防衛運転のためには自分のブレーキ技術が大変重要になる。しかし、このブレーキングっていうのはとても難しいのだ。時速60kmで走行している状態から思いっ切りブレーキを踏んで下さいと言われても、プロのドライバーでない限りなかなか踏み込めないものだ。そもそも自動車教習所でそんな高速域から急減速をする訓練なんか普通は受けられない。でも本当はハンドル操作も含め、そのような緊急回避操作を免許取得者には体験させるべきなのだ。サーキットやイベント会場などで安全教習を行う活動もあるようなので[12][13]、機会があれば是非体験するとよい。自動車教習所の練習はあくまで公道を走るための最低限の技能だから、免許取得後も運転経験に応じて段階的に技能訓練を受けさせることを義務付けてはどうか。そうすることで高齢者も含めた運転適性やその経時変化もより正確に把握できるハズだ。

しかし運転適性として最も重要なのは、知識や技能でもなくドライバーである以前に人としての倫理・モラルなのだと思う。今問題となっているのはこの適性が欠落した免許保有者が非常に多いということなのだ。飲酒運転をすること、怒りを暴力で訴えること、走行の邪魔をすること、歩行者や自転車など交通弱者を尊重しないこと、万が一にも事故を起こした場合、被害者の救助をせず逃げること、タバコをポイ捨てすること等々。このようなモラルの欠如した人間に、時に凶器となり得る道具を安易に使わせてはいけない。

西川廣人 星野朝子 ハリ・ナダ
自動車製造会社の役員は法に触れさえしなければ反モラルは不問らしい(「日産の星野副社長、ハリ・ナダ専務も株価連動報酬で不正」)
出典:日産自動車ホームページ


あおり運転については、される方にも問題があるという意見がある(参考記事:「あおり運転はあおられる方にも原因がある」に対する反発意見への回答)。物事にはたいてい因果関係があるもので、相手を怒りモードにさせる何らかの原因があるハズだと。よく言われるのが、右側の追い越し車線をチンタラ走り続けるというもの。せっかちなドライバーが車線変更して、前方にそのような車両がいればイラっと来る気持ちもわかる。ただ私の通勤時間帯でもよく目にする光景だが、皆が右側車線を走行するものだから追い越し・追い抜き車線は車間が詰まって渋滞なのに、むしろ左側の走行車線の方がスムーズに流れているという妙な状態になるし、追い抜いた車両に次の信号停止ですぐに追いつかれるのは常だ。要は急いだところでほとんどメリットはないということ。

Dirty Mary Crazy Larry3
(”Dirty Mary Crazy Larry”より)
あれだけ「浪花のラリー」が騒がれていた時の通勤途上のこと.右車線をチンタラ走っていたトラックの後ろを軽自動車があおっていたんだ.左車線も同じくトラックが並走しているもんだから、当の軽自動車はニッチもサッチもいかずあおり続けている.と何を思ったのかこの映画のように(逆走じゃないけどね)2台のトラックの間のすり抜けを図ろうとし始めた.当然すり抜けられずにしばらく膠着した状態が続いたんだが、毎日往復100kmも通勤しているとそんなキチガイドライバーを見ない方が稀かも.


また別な理由で自分自身が一瞬あおり運転ドライバーになったこともある。ずいぶん昔の話だが、横須賀市内の信号なしT字路において、自車が非優先側から優先側へ左折する場面。私がほぼ優先車線側へ侵入し終えたその瞬間、(カーブで少し視界が悪い)右方から猛スピードで近づくタクシーが一台、減速するどころか自車直前で反対車線へハンドルを切って逆走して追い越し、あわや接触事故寸前だった。職業ドライバーが運転するタクシーだったこともあり、完全に頭にきた私はすぐにそのタクシーを猛追した。家族も同乗していたので「やめて」という声に我に返った。私の怒りに気づいたのであろう、そのタクシーはすぐに本線から脇道に逸れたのだが、偶然にも我々の帰宅方向だったのでそのままタクシーを追尾するカタチに。その後も道を変える度にこちらも同じ道順なので後ろをゆっくり付いていくことになってw。タクシーの運ちゃんも相当しつこい奴だとビビったと思う。

もし、自分が一人で運転をしていたら・・・と思うと反省然りだが、あおられる側にも秩序を乱す行為、すなわち交通ルールの遵守やモラルの欠如が問われるケースも少なくないと思う。知らず知らずのうちに自分が相手にイライラの元を作っているかもしれないし。誰もがあおり運転の加害者にも、その原因にもなり得るということだ。もちろん「浪花のラリー」は複数の場所・複数の車両にもあおりを仕掛けているので、一瞬頭に血が上ったというよりはかなり計画的な確信犯もしくは愉快犯、それこそ“病的”なドライバーに見える。

さて問題の生涯免許剥奪の現実味について。ドイツでは危険運転ドライバーは一生涯免許を剥奪できる制度がある[7][14]。速度無制限のアウトバーンを有する国である一方、繁華街で危険なカーレースを行い死亡事故を起こしたドライバーに対しては「運転には向いていない性格」という理由で、裁判所が生涯免許剥奪を言い渡している。ドイツらしい合理的な考えである。アメリカのニューメキシコ州では、飲酒運転の常習者にはインターロック装置(呼気からアルコールを検出した場合、エンジンが始動できない仕組み)を義務付けているそうだ(そもそも常習犯に免許を交付するってどうなの?)[15]。一方日本の場合、免許取り消しから最長10年で再び免許を取得することは可能なのだそうだ[7]。米国のような常習犯に対する規制も聞いたことがない。現行法では危険運転や悪質な死亡事故を起こしたドライバーでさえも一生涯剥奪はできないことになっている。つまり日本社会は運転犯罪者に対して非常に甘い。「浪花のラリー」も、いずれハンドルを握る可能性はある。服役や更生した場合、運転免許がないと社会復帰ができないという考えなのだろうけど、やはり悪質なドライバーや再犯者に対しては、たとえ刑期を全うしたとしても、それなりのペナルティを科すべきだと思う。悪質なドライバーは再犯を繰り返すという話もあるしね(「殺人ドライバー」参照)。

飲酒運転死亡事故件数
飲酒運転死亡事故 件数の推移と主な出来ごと:未だに年間200件以上繰り返される飲酒運転死亡事故.幼い子どもたちが犠牲になった悲劇の教訓は生かされたのだろうか?
出典:ベストカーWeb


剥奪すべきは運転免許だけでいいのかと考えさせられる“事件”も続いている。昨年12月には関西であおり運転をしていた上に警官の停止を無視し、挙句の果ては強制執行を図ろうとした警官を逆に羽交い締めにしたトンデモ内科医が捕まっている。専門が心療内科と知って二度びっくり[16]。患者の心のコントロール不全を治療する立場の人なのに。その1カ月前には同じく関西の阪神高速をポルシェで時速200km前後の暴走をし、死亡事故を起こした内科開業医が逮捕されている[17]。この男は昨年から交通違反を繰り返して免停中。東大の理Ⅰから阪大の医学部に学士入学した秀才ということだが(大学は彼に何を教えたのだろう?)、こういうただ試験テクニックに秀でただけの受験マシン、人としての心を持たない“キチガイ”サルに命を預けると思うと本当に恐ろしい。また、今年2月には元東京地検特捜部のエース、いわゆるヤメ検の弁護士(78)がアクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走で死亡事故を起こしている[18]。元高級官僚による渋谷の死亡事故もそうだが、危険運転の常習でなかったにせよ(いわゆる権力側の人たちだから本当にそうだったかはわからないけどね)、高齢者のヒューマンエラーで片づけるには、いずれも事故後の被害者や遺族に対する対応が、そもそも人としてどうなのかと疑問に思ってしまうようなケースだ。人の命、基本的人権を守るべき医師や弁護士、行政官、そして正しき道を教える教職者(寺の住職が“制服”であおり運転する時代・・・カオス)といった人たちが危険運転では、運転適性どころか職業人しての適性もゼロと考えられるので、運転免許だけでなく専門資格も一生剥奪、それくらいの社会的制裁を与えてもよいのではないかと思う。


1km以上逆走逃亡するって・・・しかもドライバーは逮捕後わずか2日で釈放され、その2か月後に今度は飲酒運転で再逮捕されている.日本の警察さん、大丈夫かいな?
出典:北海道の大逆走男 警察が「暴行容疑」で書類送検の英断


それにしてもなぜドライバーの暴走は止まらないのだろう。昔からキチガイドライバーは一定数いて、SNSやドラレコの普及で、悪質運転の様子がすぐに世間に晒されるようになっただけかもしれないが、「アメリカン・ニューシネマ」のことを調べてみたら、現在の世相と重なる点が多いのではないかとちょっと気になった。

・かつて映画界がそうだったように、古いメディア(テレビ・新聞)が新しいメディア(SNS)の台頭で危機にあえいでいる
・保守層の人たちがメディア、特にテレビの表現・報道について苦言を呈し、業界は自主規制に走りがち
・大手テレビ局や新聞社の忖度、捏造報道が次々とバレて、既存メディアのリアリティ崩壊
・経済格差が広がり、権力側の不正・犯罪も多発、現体制に対する不信・不満が広がっている
・新しいメディアでは、特に若者を中心にタブーのない表現方法が試され、共感を得ている
・当時の東西冷戦、中東・ベトナム戦争のように国際的緊張が高まっている



クルマじゃないがアメリカも相当病んどるね
出典:NYの地下鉄サーファーの迷惑行為が危険すぎる!YOUTUBEで収益狙い?感電で即死も!!


このような共通の背景の中で、「アメリカン・ニューシネマ」に相当するのがSNSを使ったデジタル表現と考えられる。当時の映画と決定的に異なるのは、情報の拡散スピードと簡単に誰もが自作自演できるという点。最近の暴走ドライバーはすぐに特定されるリスク環境を十分承知しているから、明らかに確信犯であり、自ら動画をアップする輩もいることを考えると劇場がリアルな公道、自身が監督でありアンチ・ヒーローを演じている愉快犯なのだろう。とすれば「アメリカン・ニューシネマ」がブームになったように、このような反社会的行動に共感する連中も少なからず存在すると想像できるので、「浪花のラリー」の模倣犯は減るどころか増えるのではないかと危惧している。わからないのは、社会的・経済的には恵まれているハズの医師や経営者といった富裕層の事件が多い点。暴走行為を起こすには高性能車が必要という単純な問題でもないと思うので、もっと専門家に細かく分析してもらいたい。

狙われた街
京アニの放火テロ事件やこれだけ異常な暴走行為が続くとメトロン星人の陰謀ではないかと思ってしまう(「ウルトラセブン」シリーズ第8話『狙われた街』より)
出典:ウルトラセブンの神回『狙われた街』ってどんな内容?深すぎるストーリーを紹介!


クルマも使い様によっては凶器になり得る。ならば自動車の所持も銃と同じように厳しく管理しようと問いかけられたらどうだろう?多くの日本人は反対するだろう。クルマは社会生活に不可欠だと皆が思っているからだ。同様にアメリカ社会で銃規制が進まないのは、銃は自由の権利を守るために必要不可欠な自衛の手段と考えている人が多いからだ。これは自らの手で本当の意味の自由を獲得した経験のない日本人にはわからない感覚かもしれないが(香港のデモもピンとこないお花畑の日本人)、自動車の免許交付の厳格化も、クルマなしでは生きていけないアメリカ社会ではやはり難しいのだろうし、日本を含めた諸外国でもそれは似たような状況だと思う。しかし、近い将来にクルマが勝手に動いてくれる時代が来るのかもしれないが、人が自らの意志で操縦するという現在の自動車運転スタイルはまだまだ続くと思う。だから、科学の力を借りてでも運転適性(身体機能よりオツムの方)をより厳密に評価して、ドイツのように「運転に向いていない人」を排除したり、もはやテロ行為ともいえる悪質運転者にはさらに厳罰を処す法改正が急務だと思う。もちろん医学的・社会学的観点から加害者がなぜ問題を起こすのか、根本要因を探ることは大事だし[19]、工学的にはメーカーや研究機関のエンジニアに危険運転を予防・抑止する技術開発をさらに進めてもらわねば。これについてはまた別の機会に。



私も最近の世の中に対する不信・不満・不安が増大している。そのせいか、今回繰り返し過激な表現を使ってしまった(気を悪くされた方がおられたらお詫びします)。ネットの世界ではもっとエスカレートしていたようだけど(本当に人権を脅かすような間違った個人攻撃もあったしね)、品位も欠くようなインパクトのある表現や発言、パフォーマンスは、時にその問題に世間を振り向かせ、議論の起点とする策略としてはありかもしれない。どこかのテロリスト集団名のような略称で呼ばれる某政党もそのような手法で注目を浴びたのだろうが、もはや“あおり”政党。マニフェストが何だったかわからなくなるくらい彼らも暴走している。そんな失敗例もあるけれども、ますます病的にエスカレートする危険運転に対しては、社会の意識や仕組みを劇的に変えないと、被害者やその遺族たちは、平穏な日常や尊い命を奪われた意味を一生納得できないまま生きていくことになる。

ダラダラと長い文章、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

[参考・引用]
[1]E質問箱【19】You are crazy! って言われたら怒る? 喜ぶ? こう返そう!、ケネス宮本、Cheer up! English、2016年8月12日、
http://english.cheerup.jp/article/3527
[2]狂騒の20年代、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/狂騒の20年代
[3]アメリカンニューシネマとは。、映画の話、
https://note.mu/purasu/n/nf8f7c25f755e
[4]アメリカン・ニューシネマ、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/アメリカン・ニューシネマ
[5]『俺たちには明日はない』から『ロッキー』へ、ザ・世界史主義~新社会学の方法~、2013年3月10日、
https://ameblo.jp/1491827/entry-11487329457.html
[6]「飛行機」の免許を取るのはどれぐらい難しい!? そのお値段は?、マイナビニュース、2013年2月12日、
https://news.mynavi.jp/article/20130212-a026/
[7][危険運転]ドイツでは一生免許剥奪・日本は事故が減ると困る警察、
https://取締り110番.com/column/post-4396/
[8]あおり運転根絶に向け“あおり運転罪”新設へ…自民党が厳罰化の検討に着手、FNN PRIME、2019年8月27日、
https://www.fnn.jp/posts/00047935HDK/201908271857_seijibu_HDK
[9]「第一次」も「第二次」もあった!「交通戦争」、NHKスペシャル戦後70年ニッポンの肖像、2015年6月17日、
http://www.nhk.or.jp/po/zokugo/1558.html
[10]世界の交通事故死者数は年間130万人 きょうは死傷者を想い、被害ゼロを願う日、柳原三佳、YAHOO!JAPANニュース、2018年11月18日、
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/20181118-00104455/
[11]2018年シートベルト着用率、交通安全とエコ、JAF、
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/data/driver2018.htm
[12]モビリタの「交通安全体験プログラム」、トヨタ自動車ホームページ、
https://www.toyota.co.jp/mobilitas/
[13]やってよかった!いざという時の急ブレーキ体験【MOTOR SPORT JAPAN2019】、yuri、clicccar.com、2019年4月26日、
https://clicccar.com/2019/04/26/735798/
[14]ドイツが導入「一生涯免許剥奪」制度、現場から、なくせ危険運転、TBS、2017年12月21日、
https://news.tbs.co.jp/newsi_sp/genba/archive/20171221_02.html
[15]NHKクローズアップ現代出演して厳罰化の次にあるもの 飲酒運転常習者対策、“加害者天国ニッポン”、2006年9月26日、
http://higaishasien.com/topics/060926_topics.html
[16]あおり運転の45歳内科医 警察官を“羽交い締め”の悪あがき、日刊ゲンダイ、2018年12月16日、
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/243859
[17]またも“あおり運転” エリート医師ポルシェ時速200キロの凶器と狂気、@niftyニュース、2019年1月13日、
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12151-165025/
[18]20代女性と早朝ゴルフで「暴走ひき殺し」超有名弁護士・78歳の転落、現代ビジネス、2018年3月15日、
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54650
[19]悪質すぎる「あおり運転・暴行事件」はなぜ起きたのか?加害者の心理、原田隆之、現代ビジネス、2019年8月18日、
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66601
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Posted on 2019/09/08 Sun. 11:27 [edit]

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