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怪異百物語 クルマの怪談

怪異百物語 クルマの怪談

湘南の国道134号を朝通勤で走っていると時々気になることがある。特に夏は人気のエリアなので、場所や時間帯によっては混雑するエリアがあるのだが、私は朝が早いのでクルマの往来がほとんどない場所を通過することはよくある。ジョガーやサーファーがポイントにしている場所でもないから人の行き来もほとんどない。そんな場所の押しボタン式信号が急に赤に変わって、停止しなければならないことがたまにある。横断歩道を渡る人がいないのにだ(海沿いなので交差点ではなく、大抵単路)。押しボタン式は交通量の少ない特定の時間、例えば夜間のみで昼間は通常の時差式信号機ってものもあるようなので[1]、多分それだとは思うのだけど、信号停止中、横断歩道を海へ向かう、あるいは海から戻ってくるサムシングの気配を感じるのは私だけだろうか・・・。夏といえば怪談、不幸にも人の死と関わるクルマには不思議な話がつきまとうものである。そんなクルマの怪談を集めた児童書?が『怪異百物語 クルマの怪談』(不思議な世界を考える会・編、ポッカ・絵、ポプラ社)で、「怪異百物語」シリーズの一冊である。

クルマの怪談といえば定番が「タクシーの幽霊」だ。本書にも散々登場する。タクシーに乗せたはずの乗客が、目的に着いたら居なかった。振り返ったら座席だけ濡れていたというテッパンの話。また、目的地に着いて運転手が「着きましたよ」と言うと、乗客が「お金を取って来ますからちょっと待っていて下さい」と言ってクルマを降り、家に入る。しかし待てど暮らせどその乗客が戻って来ないものだから、痺れを切らして運転手がその家を訪ねると、その乗客は既に亡くなっていたというもの。いずれも乗客を乗せた場所は、過去にそこで死亡交通事故があったというオチ付きだ。こういう幽霊話は日本だけでなく、お隣の韓国や中国、アメリカやフランス、イギリス、ロシア、そしてスリランカと世界じゅうに存在するという。但し、座席が濡れるというシチュエーションは日本と韓国以外にはあまりないようだ。

怪異百物語 クルマの怪談01
『怪異百物語 クルマの怪談』より

古い神話や民話も世界各地で似たような話が存在する。万国共通ということはある意味、人間の本質や暮しに関わる教訓と考えれば、同時多発にも納得がいく。つまり怖い話は一種の警告なのだろう。そう考えると「クルマには気を付けなさい」ということを、特に子どもたちに戒めるためには「タクシーの幽霊」は効果的である。「タクシーの幽霊」の話は、まだ一般の人が自家用車を持てなかった時代に生まれたという。一般の人がクルマに乗ろうと思えば、まだタクシーぐらいしかなかったような時代にタクシー運転手の体験談として生まれ、語り継がれた。クルマがプライベートカーになる頃には、「消えるヒッチハイカー」のような個人の体験談に変節してくるという。タクシーの前には乗り物がバスや電車だったり、もっと昔は自転車や明治時代には人力車に乗った人が消えるという話もあったのだとか(運転手が重さを感じ取れるこれらの乗り物で、後ろに人が乗っているか乗ってないかわからないものだろうか?)。さすがに飛行機はないようだが、空飛ぶクルマの時代になったら登場するかもね。ところで自動運転による無人タクシーだったらどうなるのだろう?乗客が乗ったら運転手がいない!って。乗客の乗っていない“流し”の無人タクシーは「幽霊タクシー」そのもの!

Google無人運転カー
Google無人運転カーってオバQみたい.オバケのQ太郎知らないか…
出典:日本経済新聞



タクシーと並んでクルマの怪談としての定番はトンネル話。暗闇の閉空間、シチュエーションとしては申し分なく、こちらも全国各地で似たような噂があると思う。ここ神奈川発では「小坪トンネル」があまりにも有名だ[2]。昭和時代にはたくさんあった心霊特番『あなたの知らない世界』(日本テレビ)でキャシー中島さんの体験談として再現ドラマ化され、全国的に「心霊スポット」として多くの人が知るところとなった。もともと古くから「お化けトンネル」としては地元でも知られていて、川端康成が1953年に発表した短編小説『無言』にも、「タクシーの幽霊」話としてこのトンネルが登場するのだとか。しかしこの「小坪トンネル」は、国道311号の上下線にある6つの隧道(小坪、逗子、名越、新小坪、新逗子、新名越)の総称[3]で「心霊スポット」がどのトンネルなのかは諸説あってはっきりしないらしい。トンネル好きとして見逃せない隧道多発地帯だが、ちょっと散策するにはねえ・・・。ちなみに私が毎日朝晩を通過する国道134号線上にある飯島隧道、それを挟んで並行する京急バス路線上の陸側・小坪隧道と海側・住吉隧道(小坪海岸トンネル)を総称した3本も「小坪トンネル」というらしい[3]。舞台がいずれにせよ、鎌倉~室町時代にこの付近の山一帯が一大霊園(巨大墓地)だったと聞けば、演出効果も抜群だ。なんだか明日から夜通過するのが怖くなってきた。

怪異百物語 クルマの怪談02
『怪異百物語 クルマの怪談』より

ところで私はUFOを見たことはあるが(妻と一緒にかなりはっきりと)、トンネルに関わらず幽霊話のような明らかな霊的体験はあまりない。母が亡くなったのがちょうど10年前の今頃だった。訃報を受け実家に戻って母の顔を見て、長い夜に備えてシャワーを浴びたときのこと。左側だったかな、胸にちょっと違和感を覚えたんだ。母の病気のきっかけが乳がんだったからまさかとは思ったが、その後葬儀を終えて自宅に帰ると次第にその痛みは強くなってきた。男性にも稀だが乳がんはあるそうで、徐々に不安になってきた。しかし、四十九日を終えるとその痛みは何事もなかったように消えたのだ。親との死別は最大のストレッサーの一つだそうだから[4]、身体に不調が出てもおかしくないし、乳がんの病歴は知っていたので、その不調が同じ箇所に現れても医学・心理学的に不思議なことではあるまい。だから身近な人との別れを経験した時に不思議なことが起こるといった話は、科学的に説明できることが多いのではないだろうか。


怪奇大作戦#22「果てしなき暴走」

小さな子どもには大人が理解できない力があるとはよくいわれる。娘がまだ2歳の頃の話。当時社宅に住んでいて部屋の中で抱っこをしていた時のこと。彼女がなんだか不思議そうに部屋の天井の隅を凝視していた。そこには特に変わったものが無かったので「何かあるの?」と聞くと、にこっと微笑んで「キツネさんがいるよ」って。その言葉を聞いた瞬間、私の背筋はゾゾゾーっ。5、6階の部屋だったが、外には共同の渡り廊下と道路を挟んで、対面に小さな神社の鳥居があったからだ。

また息子がやっとだどたどしい会話が出来るようになった2、3歳の頃に、テレビを観ていたのか、二人で会話をしていたのか、どんな言葉だったかは忘れたが、突然幼児が絶対に知るはずもない難しい言葉を発したのだ。文脈からも使い方は間違っていなかった。驚いて「なんでそんな言葉知っているの?」と聞くと私の方を振り返り、ふんっと鼻で笑ったその表情は今でも忘れることができない。その瞬間だけ、別の人物の顔を見た気がしたからだ。

まあこれらは大した体験でもなく、誰もが一度や二度は経験するようなことだと思う。しかし、次の話はマジな心霊現象だ。30年くらい前かな。まだ新人に毛の生えた頃の職場でのお話。先輩が「ちょっと見せたいものがある」と言って周りの同僚を集めて一枚の写真を見せてくれた。彼は少し前に実の父親を亡くされたこともあって、古くなった先祖の墓を新しくしたのだという。そのお墓が完成した時に、墓前で撮影した写真だった。デジカメなんてない時代だから、現像したカラーフィルム写真。一見すると新品のお墓が写っているだけのその写真の中央に何やら白いものが。良く見ると白装束で頭に白い三角頭巾「天冠」を巻いた一人の男性の上半身が写っていた。顔の表情はあまりはっきりしなかったが、年配の男性のようだった。寝ているような姿ではなく、きちんと正面を向いて両手を合わせて合掌をしている。先輩によれば間違いなく死んだ親父だと。遺影とも違うし、他のネガが写り込んだ可能性もなかった。職場は研究所なので、高度な科学的専門知識を持った他の同僚たちも説明のつかないこの写真を不思議そうに見ていた。決して怖いと思うようなものではなく穏やかな気持ちになるその“心霊写真”に先輩曰く、「墓を新調したことに、お礼のため“出て来た”のだろう」と。

怪異百物語 クルマの怪談03
『怪異百物語 クルマの怪談』より

まだまだこの世の中には最新の科学では説明のできない事象が色々ある。我々はこの世界を完全に理解している訳ではないのだから当然である。そろそろお盆の季節だ。ご先祖様には感謝しないとね。

その他のクルマノエホン怪談編:
おばけドライブ
ぼくおばけになりたくない

関連情報:
『ねないこだれだ』誕生50周年記念 せなけいこ展 横須賀美術館にて開催中


Manhattan Transfer / Twilight Tone-Twilight Zone



[参考・引用]
[1]押しボタン式信号機、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%BC%E3%81%97%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%B3%E5%BC%8F%E4%BF%A1%E5%8F%B7%E6%A9%9F
[2]「小坪トンネル」は本当に「ヤバい」のか?/昭和こどもオカルト回顧録、初見健一、月刊ムー公式ウェブムーPLUS、2019年5月23日、
http://gakkenmu.jp/column/19190/
[3]小坪トンネル、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%9D%AA%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB
[4]出来事のストレス評価、夏目誠、精神経誌、110巻3号、p182-188、2008、
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1100030182.pdf
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