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国産の“キング”

国産の”キング”

先月、実家で片づけをしているとあまり使えそうもない親父の古い腕時計が何本も出て来たことを紹介した。その中でアンティークな雰囲気が気に入ってメンテしたら蘇ったセイコー「MARVEL」を帰省した折に父に見せてみた。認知症が少し進んだ彼はこの時計のことをすっかり忘れていて、どういう経緯で購入したのかも確認することはできなかった。父に「返すけど使ってみる?」と聞くと、「お前にくれてやる」と。「またお前に取られた」と失礼なAB型得意の嫌味を付け加えて。まあ貰うつもりだったのだけどねw。今回の帰省で出て来た古い時計を改めて眺めていると、1本なかなか良いモノが見つかった。それが同じくセイコーの機械式時計「KING SEIKO(KS)」だ。当時の国産時計の頂点、「GRAND SEIKO(GS)」ブランドの廉価版、弟分の時計といってよい。ケースの裏面を見ると型式は4402-8000。1964~1968年に販売されたKSのセカンドモデルのようだ[1]。手巻きの25石。

キングセイコー01
傷だらけだった“キング”の風防

今でこそ、それほど高価でもないクォーツ時計を長い入院生活ですっかり細くなった手首に大事に着けているけど、この金色の“キング“は私が子どもの頃、父の力強い腕周りにいつも巻かれていて、ずいぶんと愛用されていた時計だったことを思い出した。これもプラスチック製風防はかなり傷だらけだったものの、「MARVEL」と同様に磨けば輝きを取り戻しそうだった。ケースもよくよくみるとボリュームもあって、「MARVEL」と比べても古さを感じさせない現代的デザイン。でもちょっとだけ昭和イズムのクラシックな感じが良いではないか。ケース幅も35mmで昨今の巨大化した腕時計に比べるとちょうどいいサイズ感。

キングセイコー02
チープに感じてしまう伸縮性金属ベルトの“キング”

センスの悪いゴールドの伸縮性金属ベルトがなんとも安っぽさを醸し出していたので前回はそのポテンシャルに気づかなかったが、黒の革ベルトに交換すれば、金ケースがもっと上品に引き立つなと思った。

キングセイコー03
輝きを取り戻したキング
キングセイコー04
マーベルと並べて

横須賀に帰宅して早速磨きをかける。いい感じでみるみる当時の輝きを取り戻してきた。再び大安堂時計店に出向いて黒ベルトに交換してもらう。どう?高級っぽくなったでしょ。庶民が所有する腕時計は分相応に高級である必要はなく、高級らしく上品に見せることが肝心である。時計店のマスター曰く、最近の(機械式)高級時計ブランドのムーブメントは、どこも同じスイスの会社のものを使っているのに、ブランド名だけで実力値以上の価格で販売されていることが多いそうな。そういう時計ブランドはメンテナンスも製造元オンリーで引き取り、高額な費用を請求されるのだとか。良い品質のモノが、もっと安く手に入るのにと。

キングセイコー05
クラシカルなSW(SEIKO Water Proof:防水)刻印の竜頭
キングセイコー06
いずれオールドセイコーの尾錠と交換したいのだよね(デッドストック品安く売ってないかな)

自動車やアパレルも同じことで、部品や材料は同じサプライヤーから購入し、組立や縫製も大差ないのに、バッジやタグだけで一気に高級車、高級衣服となるカラクリと一緒である。これが企業の高い利益率を生み出す昨今の経営者が大好きな「ブランド力」というものだが、我々は世間の“空気(評価)”におカネを払っているワケだ。それにしても数百万もする時計って、どんな人がどんなシチュエーションで使っているのだろう?俺なら腕切り落とされそうで、怖くて着けられないけどな。

これぞキング!
ウブロ・クラシック・フュージョン ブルー キングゴールド
ウブロ(HUBLOT)・クラシック・フュージョン ブルー キングゴールド.430万円也.
出典:ウブロ公式ページ

もちろんブランドや機能、デザインにはステータスや付加価値があるので、自分がそれだけの価値があると思えば買える人は買えばいいだけの話なんだけど(目利きのない人は騙されるだけ)、ブランドに安易に走るだけでなく、身近なもの(例えば国産時計)、古き良きものにも目配せして本当に良いもの、有名じゃないけど自分が気に入ったもの、拘りのあるものをもっと楽しんでもいいんじゃないか。高級時計もただ投資の対象として金庫に眠るだけじゃもったいない。設計者としては使ってもらってナンボのハズだ。今回の「KING SEIKO」や「MARVEL」のように古時計のリユースも一つの楽しみ方だし、家族の歴史も刻まれているから、それだけで他人にはわからない自分だけのオリジナルな価値が生まれる。

ズタボロ
こちらは外国産のキングも国産キングもズタボロでブランド失墜(もともと高かったとは思えないが…)
出典:日刊ゲンダイ

と言いながらちょっといい腕時計1本欲しいなあ…w。50万とは言わないけれど、せめて10万~20万くらいのをな。祖父や親父の時計は継承してもらうが、いつか息子に譲ってあげたいと思う自分で購入した1本がないのだよ。時計なんて時間がわかれば十分と思っていたから安モンばっかりで。今や時を知る手段はスマホと健康ウォッチのみ。

カネ貯めよう。

キングセイコー07
キングの裏側.腕時計ケース裏蓋の装飾加工にはスケルトンとメダリオンがあるということを知った[2][3].前者は最近の高級機械式腕時計ではほとんどがそうだが、裏蓋が透明で中のムーブメントが見える方式.後者はこのキングのように裏蓋にメダルを嵌め込んだ方式.このモデルは「盾メダリオン」と呼ばれているらしい.親父のは腐食もなく保存状態はよかった.

[参考・引用]
[1]セイコーが誇る伝説の2本の腕時計 グランドセイコーとキングセイコー
https://kokusan-watch.com/?p=62
[2]スケルトンとメダリオン、REPAIR-STUDIO OHULS、2007年12月16日、
http://ohuls.blog9.fc2.com/blog-entry-232.html
[3]裏蓋のメダリオン、趣味の古時計、2018年4月28日、
http://56gs.blog.fc2.com/blog-entry-43.html
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[ 2019/06/15 08:59 ] favorites/MONO | TB(0) | CM(0)

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