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Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK

Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK

先日、アーツ千代田3331で開催中の「シド・ミード展 SYD MEAD: PROGRESSIONS TY 2019」へ行ってきた。イラストレーターの溝呂木陽さんがブログで書かれていた記事を読んで、日本での個展は34年ぶり東京限定開催と知って、これは行かにゃならんと。最近帰る機会が多くなった実家・福岡市は様々な面から注目されるようになった。確かに程よい都会で暮らしやすい元気な街だが、こと文化面の充実度に関してはやはり首都圏には敵わないんだよね。福岡に住んでいたらこのシド・ミード展も観に行けなかった。そこで購入したのが“Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK”(作:シド・ミード、スカイフォール)。展示会場内のショップでしか手に入らない代物で、本展の公式図録は既に完売だった。これを購入したのは残り物ということではなく、このブログの管理者として買わない訳にはいかない内容だったからだ。帰ってからシド・ミード展のホームページを読んでいたら、本展プロデューサーの植田益朗氏が「ポストカードセットは、ミードファンの必携のアイテムです。こればかりは後悔のないように、是非ゲットして会場にお越しください!」とコメントされている。買っておいて良かったぁ。

Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK2

このポストカードブック、彼の十八番である未来のクルマを描いたもので(それはそうでしょう、ミード氏は元フォードのカーデザイナーだったのだから)、1969年にUSスチール社からリーフレット形式で出版された3種類(2種類?)の企業カタログ“interface - a portfolio of probabilities”に収録された18枚を復刻したものらしい[1][2]。“interface”の詳細はわからないけど、1969年から50年後の2019年のクルマをイメージして描かれたものではないだろうか。

interface1
interface2
interface:[1]によればリーフレットは2種とされているが、[2]によれば3セットあって1セット当たり6枚、計18枚となっているので、本書はこの復刻版ということなのだろう.

interfaceオリジナル版
展示会で出品されていたオリジナル版.しかもコレクターの個人所有モノ!
Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK4
City On Wheels(”Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK”より)

2019年といえば、シド・ミードの名を世に知らしめることになった映画『ブレードランナー(原題“Blade Runner”)』(‘82年、米国)では、今年11月のロサンゼルスが舞台になっている。遺伝子工学技術で作られた高い知性と身体能力を持った人造人間(レプリカント)のお話。人類は環境汚染から逃れるために宇宙の植民地に移住するが、そこではレプリカントが宇宙開拓の最前線で、過酷な隷属的労働と戦闘に従事させられていた。その扱いに不満を持ったレプリカントは脱走し、人間に反旗を翻すようになる。地球の人間社会に紛れ込んだ反逆レプリカントは人間と見分けがつかないため、それらを発見し始末を請け負うのが「ブレードランナー」と呼ばれる警察の専任捜査官で、『スター・ウォーズ』でトップスターとなったハリソン・フォードが演じる[3]。


ヴァンゲリスによるサウンドトラックが懐かしい

Spinner Down Shot
Spinner Down Shot(1981)

「スピナー(Spinner)と呼ばれるクールな空飛ぶ自動車のシーンでも有名になった本作はもっと最近の映画だと思っていたが(続編『ブレードランナー2049』は2017年の作品)、’82年といえば俺が大学生の時だったかあ・・・。まだ当たり前にはなっていないが、今や空飛ぶ自動車の実車や実用化の計画も世界じゅうで発表されていて、決してギミックな乗り物ではなくなってきているし、人造人間はないにせよ、iPS細胞等の技術で人間のパーツを再生できる可能性は見えてきた。倫理的問題はあるが、遺伝子操作で超人間を作り出すことも技術的には可能かもしれない。機械的人工知能に至っては今最もホットな話題だ。『ブレードランナー』の未来予想は結構いい線付いている。ただ現実の2019プロダクトデザインは、ミードの感性にまだ追いついていないかなあ・・・。ポストカードに描かれた半世紀前のデザインを見ても、全く古さを感じない。インターフェース系もカードのタッチパネル使っているし。まあどれも車高はかなり低く、乗りにくそうだけどねw。

Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK3
SERVO MECHANISMS(”Syd Mead 1969 POSTCARD BOOK”より)

Hypervan rear down view
Hypervan rear down view(2008)[4]
トヨタ・イーパレットコンセプト
トヨタ・イーパレットコンセプト
出典:KYODO

勿論本展でも同作品を含むミード氏の映画との関わりは“The Movie Art Of Syd Mead”として目玉企画になっていて、他の原画は撮影可(スマホ撮影のみ)だったけど、この企画コーナーは撮影NGだった。ちゃんとフル視聴した記憶がなかったので、改めて『ブレードランナー』のブルーレイ買って観たけれど(ヴァンゲリスのシンセ聴いて当時の記憶が蘇ってきた)、映画のワンシーンを描いたのではなく、これらのスケッチから映画の名場面が生まれたのかと思うと興奮したよ。監督のリドリー・スコットによれば、都市の外観モデルは香港だそうだが、街の雰囲気は新宿歌舞伎町にインスパイアされたらしいので、舞台設定2019年の東京でこの展覧会が開催された意味は大きい。

Сoncept art for Blade Runner1
Сoncept art for Blade Runner :Downtown City Scape(1981)[5]

ミード氏のデザイン活動において日本との関わりは深く(彼の手掛けたプロジェクトの3割は日本関係なのだとか)、もう一つの目玉企画が『YAMATO 2520』と『∀ガンダム』に関する作品展示。其々のオリジナル『宇宙戦艦ヤマト』と『機動戦士ガンダム』は、いずれも私の世代は思い入れが強い。個人的にはヤマトは小学生時代(ブームになる前の最初の放映時)にハマっていたが、ガンダムの方は高校生時代、周りは異常に盛り上がっていたけど私はほとんど関心がなかった(アニメより音楽だったから)。興味があったのはミードの別の作品でも描かれていたスペースコロニーくらいw。だからガンダムに関しては今でもほとんど何も語れない(涙)。

『YAMATO 2520』CAD設計図
『∀ガンダム』
『YAMATO 2520』CAD設計図と『∀ガンダム』原画(会場にて)

ミード氏は自らをフューチャリスト・デザイナーと称しているが、ヤマトの原作者・松本零二氏やガンダムの原作者・富野喜幸氏も日本を代表する未来表現者だと思う。そんな日米アーティストのコラボもまた一興である。私はもう一人の日本人ビジュアル・フューチャリスト、故・真鍋博氏の作品も思い出しながら、未来を想像することの楽しさを享受して参りました。当初開催期間は5月19日までだったのだが、あまりの人気に6月2日まで会期延長されたとのこと[6]。大学でプロダクトデザインを専攻する娘の同級生は何人か行っているようだが、延長ニュースを教えてあげると自分も行ってみたいと。是非、建築士への道を少し考えている弟と一緒に観て行ってはどうか。私は明日から、またしばらく実家に帰省である。

Pebble Beach Triptych1
Pebble Beach Triptych2
Pebble Beach Triptych(2000):クラシックカーと未来のクルマの対比

Jungle Walker
Jungle Walker(1968,1975):ペンシルスケッチやマーカードローイングに加え、制作で使用したパレットまで.これが何と個人所有.3才の頃から書き溜めた原画を、ほぼ全てアーカイブされているミード氏は原画を滅多なことから手放さないそうなので[7]、これらはとても貴重.

シド・ミード[7][8]
1933年、アメリカ合衆国ミネソタ州生まれ。ロサンゼルスのアートセンター・スクール(現パサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン)でインダストリアルデザインを専攻後、フォードのカーデザイナーとしてキャリアを出発させるが、1970年に独立。未来志向でリアルなビジョンの数々は、彼を瞬く間に世界的なインダストリアルデザイナーへと押し上げる。その活躍はプロダクトデザインの領域に留まらず、1979年から始めた映画美術の仕事でも優れた成果を上げた。『スタートレック』(79)『トロン』(82)『ブレードランナー』(82)『2010』(84)『エイリアン2』(85)など、いまや誰もが知るSF映画の名作を手がけるレジェンド的存在である。近年も『ブレードランナー2049』(17)への参加が話題を呼ぶ。

Syd Mead
Syd Mead[8]



[参考・引用]
[1]シドミード SENTINEL LIMO 400 シリーズ、Syd Mead Freak(シドミード•フリーク)、2006年3月15日、
https://blogs.yahoo.co.jp/sydmeadsentury/29612094.html?__ysp=44K344OJ44O744Of44O844OJIGludGVyZmFjZSDjg6rjg7zjg5Xjg6zjg4Pjg4jlvaLlvI%2Fjgaflh7rniYjjgZXjgozjgZ%2FvvJLnqK7poZ7jga7jgqvjgr%2Fjg63jgrA%3D
[2]Syd Mead Futurist US Steel Interface 3 sets Portfolio of Probabilities 18 prints、Worthopedia、WorthPoint.com、
https://www.worthpoint.com/worthopedia/syd-mead-futurist-steel-interface-1890025677
[3]ブレードランナー、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC
[4]Syd Mead:Retro Future、CAR Styling Russia、
http://www.carstyling.ru/en/entry/Sid_Mid_Syd_Mead_Retro_Future/
[5]‘A complete remake of what we consider normal’: Blade Runner designer on the future of design、Timur Zolotoev、STLERKA MAG、2017年9月11日、
https://strelkamag.com/en/article/syd-mead-blade-runner
[6]来場者数1万人を突破。話題の「シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019」が会期延長、美術手帖、2019年5月13日、
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/19792
[7]ABOUT EXHIBITION、シド・ミード展ホームページ、
https://sydmead.skyfall.me/about
[8]シド・ミード、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%89


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