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マーベル

マーベル

親父が入院して帰省していたとき、実家の片付けをしていたら、相変わらず訳のわからないものがいっぱい出てきた。父の古い腕時計も何本か出てきたのだが、どれも傷んでいてしかもセンスがあまり良いとはいえないw。その中にベルトのないケースだけの古びた機械式時計があった。メーカーを見るとセイコー。しかしSEIKOのロゴの上に見慣れない“S”のマークが冠してある。

調べてみると1950年代のオールドセイコーにはこのSマーク(通称ヘビSと呼ばれるらしい)が付けられていたのだという。モデル名はマーベル(MARVEL)。これも聞いたことがなかったが、初期型セイコーモデルの一つで、技術的にも国産時計がスイス時計に追いつき追い抜き、世界のSEIKOの端となった歴史的モデルなのだそうだ[1][2][3]。決して高級時計ではないが(高級バージョンにはロードマーベルというモデルがあった)、恐らく父が社会人になって初めての給料を叩いて買った腕時計だったのではないだろうか。だから今まで捨てずに残っていたと想像する。他の時計に比べアンティーク感といい、特に今どきのサファイアガラスではない樹脂で作られたラウンドシェイプの風防に味があって、この時計だけには心惹かれたのである。

石数は17石(17 JEWELS)。ここでいう石数とは何だ?ということになる。私は時計に詳しくないので少し勉強してみると、機械式時計には大量の小さな歯車が使われているワケだが、歯車を回すには軸と軸受が必要になる。秒針を動かす歯車を考えれば、単純に1時間で60回転、一日24時間で1,440回転、一年間で525,600回転する計算になる。これだけ酷使すれば部品は摩耗するよね。摩耗すれば精度も落ちる。かといって軸受にベアリングを埋め込むワケにもいかないので、機械式時計の軸受には硬く滑らかな素材、ルビー(人工)が主に使われるようになった。モース硬度でいえばダイアモンドの方が硬いが、割れやすく高価な点がデメリット。この軸受用の石が何個使われているかがこの石数になるらしい[4][5]。一般に17石以上が望ましいそうで、マーベルは時期によって17石、19石、21石とあるらしく[2]、親父のは17石なので最初期のマーベルではないかと思われる。

石数
機械式時計の蓋を開けてムーブメントを見ると赤い部分がルビーの軸受[4]

このほぼ死んだ状態のオールドセイコーをなんとか復活させたいと自宅に持ち帰ったのだが、リューズを巻くと一応ちゃんと稼働するものの、見た目はかなり痛々しい。特に味わいのあるプラスティック製風防は傷だらけだった。そこでネットで調べて「プラスチック風防磨きのコツ」という記事を見つけ、早速道具を揃える。ちょっと目立つ深い傷もあったので、3Mのスポンジ研磨剤3種で徐々に磨き上げていった。最後の仕上げはサンエーパールの研磨剤とクロスで仕上げの磨きを行った結果、多少細かい傷や研磨で取りきれない経年劣化の細かいひびは残ったものの、まあパッと見、なかなかきれいに蘇った。ここまでくれば後はベルトである。そこで以前にも紹介した横須賀地元の太安堂時計店に行ってみた。

研磨1
最初の状態.”S”のマークはプリント印字ではなく植字
研磨2
3Mのスポンジ研磨剤で大きな傷を修復
研磨3
サンエーパールで磨くとプラスチックの黄ばみも取れる.このような作業を丁寧に何度も繰り返した.

本当はムーブメントのオーバーホールも頼みたかったのが、現在この店の販売品修理だけで手一杯だそうで、残念ながら飛び込みのメンテナンス依頼は受けてもらえないのだ。せめてベルトだけは付けてもらおうとこの時計に合う17mm幅の革ベルトを見せてもらう。当初はオーソドックスに黒か茶を考えていたのだが、インデックスと針がゴールドなのでこれが似合うのでは?とお店で見せてもらった紺色(万年筆ブルー)のベルトが刺さった。アンティークなケースに爽やかな青のコントラストがモダンに見える。実家に帰ったときに父に見せてあげよう。

マーベル2
ベルトを付けると印象もガラリと変わる

最近はうん十万、うん百万するような高級腕時計を投資の対象に購入される方も多いと聞くが、私はプロダクトは使ってなんぼだと考える派。ちょっとの手間とおカネで昭和の骨董品もこんな感じでおしゃれに蘇えるんだね。腕時計、特にアンティーク時計、ちょっと面白いと思った。

祖父の形見の懐中時計と
祖父の形見の懐中時計(モバード)と.昔のプロダクトデザインは暖かいなあ.

太安堂オリジナル時計
太安堂オリジナル時計も見せてもらったけどいいなあ、欲しいなあ、でも30万・・・

部活で膝を痛めて連休中どこにも行けなかった息子がようやく普通に歩けるまでに回復したので、見たがっていたマーベル映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』を一緒に観に行った。このセイコー・マーベルを腕に付けてね。

[参考・引用]
[1]”S”の紋章…オールド セイコーたち、なんちゃって親父と時計と音楽と、2014年8月27日、
http://nanchatte3180.blog.jp/archives/11906433.html
[2]マーベラス!、Someday…Lotus! 、2018年3月10日、
https://minkara.carview.co.jp/userid/346614/blog/41196935/
[3]セイコー マーベル Sマーク 17石 14KGF 手巻き、昭和時計ラウンジ、
http://showalounge.ocnk.net/page/103
[4]時計のスペック表にある「石数」って何?、OurWatches、2017年4月27日、
http://our-watches.com/%E6%99%82%E8%A8%88%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%83%E3%82%AF%E8%A1%A8%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%8C%E7%9F%B3%E6%95%B0%E3%80%8D%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%EF%BC%9F/
[5]ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます~/第7回 石って何だ?、webChronos、2018年6月24日、
https://www.webchronos.net/features/21793/
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[ 2019/05/12 23:38 ] favorites/MONO | TB(0) | CM(0)

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