ポストマン パット ははのひのおくりもの

通勤途中に音楽を聴いていたら、カーペンターズの『プリーズ・ミスター・ポストマン』が流れて来た。小学6年生くらいだったかな、同級生にファンがいたので、初めてレコード(ドーナッツ盤)を借りて聴いたカーペンターズの曲がこれだった。中学の頃にもディクテーションした歌詞をそれらしく器用にカタカナ英語で歌うヤツがいて、やけに耳に残っている曲なんだ。ビートルズのリアル世代ではないので、彼らの曲の多くはジョン・デンバーとかオリビア・ニュートン・ジョン、そしてこのカーペンターズから知ったものだが、これもビートルズの曲だと思っていた。でも、オリジナルはモータウンレーベルのマーヴェレッツというグループの歌だった。ビルボードでも1位を獲得している名曲だが、僕らの世代はやっぱりカーペンターズのカヴァーがNo.1。前置きはこのくらいにして、先週の日曜は母の日。我が家では娘しかお母さんにプレゼントはしておらず、男組二人は「何それ?」ってなもんだ。もちろん、私の二人の母も、もうこの世にはいない。特に実母にはホント、何もしてあげなかったなあと、今日紹介する絵本を読んで自分の親不孝を少し恥じた(もう遅いけど)。『ポストマン パット ははのひのおくりもの(原題は“Postman Pat Makes a Present”)』(ジョン・カンリフ:文、ジェーン・ヒクソン:絵、アイバー・ウッド:オリジナルテレビ版デザイン、おびか ゆうこ:訳、フジテレビ出版)、ポストマン パット ビギナーズシリーズの1冊である。

ポストマン パット ははのひのおくりもの1
『ポストマン パット ははのひのおくりもの』より

出版がフジテレビになっていることでわかるように、英国の児童書作家であるジョン・カンリフ(John Cunliffe)の原作をストップモーション・アニメ化した番組が、この絵本のベースになっている。つまり原作→アニメ化→絵本化という図式だ。アニメシリーズは1994年からフジテレビの「ポンキッキーズ」でも放映していたらしく、「観てたー、懐かしいー!」という方も多いのかもしれないが、私はまだ結婚もしていなかったから、子ども番組でこのアニメが流れていたことは全く知らなかった。本家英国では第1シリーズが1981年からBBCで放送されていたというから、そこそこ歴史のあるシリーズアニメである[1]。

Longsleddale
グリーンデールのモデルとなったロングシュレッデールの風景
出典:Old Cumbria Gazetteer

主人公はタイトルからもわかるように、のどかな町グリーンデールで郵便局員をしているパット・クリフトン。かつて作者が住んでいた英国北西部ウェストモーランド州(現在のカンブリア州)のケンダル(Kendal)の町や村が物語の舞台設定に影響を与えたようで、近郊にあるロングシュレッデール(Longsleddale)の谷がグリーンデールのモデルになっているそうだ[2]。その他のキャラクターには、本書にも登場するパットの妻サラと息子のジュリアン、パットのペット、ネコのジェス、他にも人の好さそうな登場人物が多数。ちなみに「ポンキッキーズ」版(後にディズニーチャンネルでも別のシリーズが放送されている)では、テーマソングやナレーションも含め全てのキャラクターの声を竹中直人さんが担当していたという(相変わらず器用な怪人だね)[1]。

ポストマン パット ははのひのおくりもの2
パットさんの家族(『ポストマン パット ははのひのおくりもの』より)


竹中直人「ポストマンパットのうた」

本書は、母の日を翌週に控えて贈り物を何も準備していないパットさんが、仕事で立ち寄った先で何がよいか町の人たちにヒントをもらうというストーリー。それにしても全員、母の日のプレゼントを考えていることに、親不孝もんの私は驚いた。結局、彼の贈り物は何に決まったと思います?

メーガン・マークルさんとエリザベス女王
英国の母はお元気そうで
出典:AFPBB News

「ポストマン パット」ビギナーズシリーズには、私が持っているだけでも『パットのいっとうしょう』『パットのねむたいひ』『ホワイトクリスマス』などがある。いずれも典型的なイングランドの田舎町での穏やかな日常が描かれている。

ポストマンパットのダイキャストミニカー
ポストマンパットのダイキャストミニカー
出典:ひろポンの”わたしにも作れますぅ”

人気のキャラクターものなので、もちろん関連グッズも販売されていた。クルマ系でいえば、ひろポンさんのブログにも紹介あるように、当時のセガ・ヨネザワからダイキャストミニカーが発売されている(写真)。クルマ好きのひろポンさんも語っているように、おもちゃと侮るなかれ。両ドアに加え、リアハッチも開閉する拘りで、このシリーズでも重要な役割を果たす郵便車の雰囲気がとても良く出ている。またまた欲しくなっちゃった(もちろん絶版です)。

ところで、このほんわか郵便車のモデルは何だろう?日本でいう“赤帽”カー、Royal Mailのバンを探してみた。

Leyland Sherpa K-2series
Leyland Sherpa K-2 series

全体のフォルムが近いのはレイランド・シェルパ(Leyland Sherpa)のK-2シリーズかな[3]。

リアルポストマンパット ヴァン

こんな風に作っちゃった人もいる(英国人ならやりそう)。EV仕様で、オークションサイトeBayに出品していたみたい[4]。

John Cunliffe
John Cunliffe
出典:Postman Pat Wikia

作者のジョン・カンリフ(John Cunliffe)は1933年、英国ランカシャー州コルネ(Colne)に生まれる。前述していたように6年間住んでいたケンダルの思い出が、世界一有名な郵便配達人が生まれる源となっている。‘81年にBBCのプロデューサー、アイバー・ウッド(Ivor Wood)の仕事でデビューした、このTVシリーズ成功のおかげで一躍有名人となった。他の作品で良く知られた“Rosie and Jim”もまた、90年代にテレビ用に書かれたものだ。人気作家になったカンリフだが、「ポストマン パット」に関するキャラクター商品やタイアップ書籍の販売方法に対しては不満もあったようで、以後、シリーズとの関係は断っている。周囲の金儲け主義に嫌気が差したんじゃないかな。2010年にはiPad用の子供向け作品“Ghosts”をリリース、その他多くの児童書を書いている[2]。

Joan Hickson
Joan Hickson
出典:Your Local Guardian

作画のジェーン・ヒクソン(Joan Hickson)は1929年生まれ。ブライトン美術大学で美術を学び、その後、サフォークの名門ウッドブリッジ高校で教鞭をとった。60年代半ばから子供向けテレビ番組に関わり、“Joe”(BBC、1965)や“How Do You Do”(BBC、1977)といったアニメシリーズを制作した。彼女は’82年に初めて「ポストマン・パット」に関わり、‘85年からジョン・クンリフが書いた最初の本のイラストを描いた[5]。

Joan Hicksonの作品
Joan Hicksonの作品.サイケでカッコいい!
出典:Joan Hickson HomePage



[参考・引用]
[1]ポストマン・パット、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%88
[2]John Cunliffe、Wikipedia、
https://en.wikipedia.org/wiki/John_Cunliffe_(author)
[3]Commercials : Royal mail vans、AROnline、Keith Adams、2011年9月25日、
https://www.aronline.co.uk/commercials/commercials-royal-mail-vans/
[4]eBay watch: Full-size replica Postman Pat post van with electric power、RETRO TO GO、2012年11月16日、
https://www.retrotogo.com/2012/11/ebay-watch-full-size-replica-postman-pat-post-van-with-electric-power.html
[5]Postman Pat original illustration、History of the BBC、BBCホームページ、
http://www.bbc.co.uk/historyofthebbc/collections/art/postman-pat
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