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ウイスキーは楽しい!

今週の出来事。会社の昼休み、スマホを見ていたら、『サントリー「白州12年」と「響17年」販売休止』のニュースが飛び込んで来た[1]。最近、ジャパニーズ・ウイスキーが海外の品評会で賞を独占するニュースをよく見るようになった[2]。そんな背景もあったのだろう、2014年にはニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝とその妻リタをモデルにした朝の連ドラ「マッサン」も放送され、初の外国人ヒロイン効果もあって、昨今のウイスキー人気に火が付いた。そのブームが裏目に出た恰好の今回のニュース。サントリーの主力商品「白州12年」と「響17年」の原酒が不足し、販売を休止せざるを得なくなったという。世のブームを支えるのはたいがい女性だ。昔は臭い(いわゆるウイスキー独特のピート香といわれるもの)とか言われて、特に女性からは敬遠されていた酒だったのに、最近は「モルト女子」なる言葉もあるようで[3](なんでも“女子”を付ければいいってもんでもなかろう)、モルト好きオッサンにとっては隔世の感がある。ウイスキーの熟成には10年以上かかるから、同ラベル商品はしばらく味わえなくなる。「白州」はノーマルラベルだったと思うが、何年か前にウイスキーの試飲イベントに出かけたことがあって、そこで飲んで以来だ(そのイベント参加者も女性だらけだったね)。ちょうど愛飲するスコッチ「ラフロイグ」が切れたタイミングだったので、これは品切れになる前にノーマルラベルでも買ってみるかと会社を早く上がってリカーショップへと直行してみたんだ。

「白州12年」「響17年」

ところが時既に遅し。ある程度予想はしていたものの、全くないのだ。他にも数軒梯子してみたがどの店舗も同じ。「白州12年」どころかノーマルラベルも品切れ。「響17年」はもちろん、サントリー棚は別の主力商品「山崎」も含め、どこもすっからかんだった。GW中には並んであったんだがなあ・・・。モラルのない輩が買占めし、転売していなきゃいいがと思ったが、Amazonを見ると、「白州12年」700mlで定価8,500円が72,000円(ノーマルラベルでさえ4,200円→11,980円)、「響17年」が12,000円→63,000円(「響12年」は6,000円→なんと84,430円!)、「山崎12年」も8,500円→24,400円、ノーマルラベル4,200円→10,280円(5/18、22時価格)と高騰している(※定価は2015年改訂価格を参考[4])。ヤフオクはもっとすごいことになっているのだろうね。販売休止となる「白州12年」「響17年」はまだしも、ノーマルラベルの「白州」「山崎」までがこのありさまとは世の中ホント狂っている。転売目的で何本も購入する輩や、値を釣り上げる非良心的な販売元など「銭ゲバ」の浅ましさには怒りを覚えるが、真にウィスキーを愛する者にとっては市場経済の悪しき見本を嘆くしかない。

間違いだらけのウイスキー選び

本格的●●●に酒を飲み始めた学生時代、もう30年以上前のことだ(本格的にってどういう意味だ?福岡県民なので…)。その頃の大衆洋酒といえばサントリーが君臨していて(ワインもそんなにメジャーじゃなかった)、実家にも“ダルマ”は置いてあったが、ある時、ウイスキー好きの父がこれを読めと言って手渡されたのが、サントリーに対する告発本『間違いだらけのウイスキー選び』(三一新書)。
・サントリーは、混ぜ物だらけのイカサマウイスキーを提供している。
・水割りやハイボールを世間に広めたのも、味を薄めてわからなくするためだ。
・本場のスコッチは水でなんか割らない、ストレートが基本。
・国産でまともなウイスキーはニッカである。
というようなことが書かれていたと記憶する。それ以来、我ら単純父子は国産ウイスキーではニッカ党になったw。竹鶴政孝はもともとサントリーの前身、寿屋の山崎蒸留所初代所長だったワケだが、ウイスキーに対する考え方の違いで彼は独立してニッカを興した。両社の企業姿勢の差も「マッサン」には描かれていたようだが、ニッカのみならず、サントリーの銘柄も国際的に評価されるようになったのだから、あれから大いに反省し、企業努力をされたのだろう。まさか原酒不足は“釣り”じゃねえよな。

[5]を読むと、サントリーのみならず、世界でも認知されるようになった「ジャパニーズ・ウイスキー」の悲しすぎる現実に警鐘を鳴らしている。ウイスキーには、大麦を原料とするモルトウイスキーと、とうもろこしなどの穀類が原料のグレーンウイスキーがある。前述のように国際賞を獲ったり、近年人気を集めているのは、単一蒸溜所のモルト原酒のみを使ったシングルモルトウイスキー。不足しているのはこのモルト原酒なのだ。製造手法の違いから、モルト原酒は大量生産できるグレーン原酒に比べて原酒不足に陥りやすく、各社は需給調整を行っているとのこと。気づかなかったが、年代表記の入ったラベルの「山崎」や、ニッカの「余市」「宮城峡」も既に販売終了していたのだ。

一方で、国内市場の半分を占める安価なウイスキー、つまり“ダルマ”とか“角”などは、モルト原酒とグレーン原酒を混ぜたブレンデッドウイスキー。その比率の公表義務はない。安物は大半(9割)がグレーン(穀類)でもおかしくないそうだ。また輸入酒をブレンドしても「国産」と表記できたりする。つまり日本のウイスキーは原材料に対する法規制がでたらめに緩い[5]。これが日本のウイスキー文化の現実なのだ。前述の著書は、サントリーに限らず、そのような日本の洋酒製造現場の惨状を30年以上も前から指摘していた訳で、この30年、本質的にはあまり変わっていなかったということか。「日本の技術はすごい!」なんて安直に礼賛するのは注意をした方がよい。最近は偽装オンパレードで日本企業の化けの皮が剥がれているしね。成功の裏には、たいがい歪もあるもので、そういう課題にもきちんと向き合って改善していかないと本当の意味の進歩はないのだ。そういうことをわかっているのが冷静なオオタニくんで、わかっていないのが裸の王様になっていた日大フェニックスの監督ということかもしれない。



私のウイスキー遍歴に戻ると、大学生のときに開高健の小説に感化されて「ジャックダニエル」を愛飲するようになった。社会人になってからは常備酒となった。一時、アイリッシュ音楽に傾倒した時は、「ジェイムソン」や「タラモアデュー」などアイリッシュ・ウイスキーが常備される時期もあったが、最近は「ジャックダニエル」とスコッチを1本ストックするようになった。その1本が“うがい薬”とも言われるクセの強い「ラフロイグ」。肝心の「白州」がないので、再び「ラフロイグ」とも考えたが、今回はそのラフロイグと並び称せられるアイラモルトの“女王”「ボウモア12年」にしてみた。こちらは投機的対象になっていない「天使の分け前」もほどほどの現実的なお値段だ。国産に手を出すのは、もう少し落ち着いてからにしよう。



やっぱりウイスキーはスコッチかな。週末チビチビと女王を愉しみたいと思う。もちろん割らずにね。





[参考・引用]
[1]「響17年」と「白州12年」、販売休止へ ハイボール人気で原酒が需要に追いつかない…、長橋亮文、朝日新聞デジタル、2018年5月15日、
https://www.huffingtonpost.jp/2018/05/15/hibiki-hakushu_a_23434933/
[2]世界が認めた「ジャパニーズ・ウイスキー」蒸留所の舞台裏を訪ねて、石井雅仁、nippon.com、2014年8月19日、
https://www.nippon.com/ja/views/b04201/
[3]女性にも人気! 愛好家300人が選んだ「家飲み用ウイスキーTOP20」、suumoジャーナル、2018年3月30日、
http://suumo.jp/journal/2018/03/30/152480/
[4]ウイスキー 一部商品の価格改定について、ニュースリリース、サントリー・ホームページ、2014年12月15日、
https://www.suntory.co.jp/news/2014/12234.html
[5]「ジャパニーズウイスキー」の悲しすぎる現実 輸入モノが「国産」に化ける、緩すぎる規制、石阪 友貴、東洋経済ONLINE、2018年3月26日、
https://toyokeizai.net/articles/-/213808
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