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あのJaguar Type-Eが…

週刊ジャガー・Eタイプ

子どもの頃からの憧れのクルマ、ジャガー、もといジャグアー・Eタイプのリアル模型がディアゴスティーニ、そう、あの大人の「子ども心」を弄ぶ、詐欺のようなあの商法w(小金を持った大人の心理を巧みに突いた商い上手と言い直した方がよいのだろうか)でシリーズ化されるらしい。昔、義理の弟がロボットの組立シリーズを購入し、買い始めたら結局最後まで買わざるを得なくなった、散財です、と嘆いていたことがあるけど、月2,000円弱というサラリーマンのお小遣いの範囲でやり繰り可能な微妙な価格設定、でも最後までやり切れば10万、20万の出費となる。狭小住宅のどこに置くのだという趣味のミニカーに。

その『週刊ジャガー・Eタイプ BUILD THE JAGUAR E-TYPE』(デアゴスティーニ・ジャパン)は、5月15日に創刊、ジャグアー・ヘリテージ公認の1/8スケール・モデル(全長は約56cm)の組立が愉しめる。自分でカタチを変えたりパーツを造ったり、カラーリングやデカーリングする模型愛好家にとっては邪道なんだろうけど、エクステリア・カラーはもちろんブリティッシュ・グリーン、シリーズ1・右ハンドルの精巧な再現キット。マジで欲しい…。創刊号こそ299円だが、第2号以降1,790円で100号までの予定(あくまで予定ね)だから、少なくとも299円+1,790円×99=177,509円(税込)かあ。薄給リーマンには無理です。

ホームページを見てみると、月額756円プラスで組立サービスなるものがある。一括だと236,909円。うーん、人に組立ててもらって何が愉しいんだろう?ホントに金持ちの道楽趣味ですわ。私も何人か存じ上げるコアなクルマ模型愛好家のように、数千円程度のキットを自分流に作り上げて行く方が(各種材料を用いて金属削り出しや叩き出しなどで部品を自作するスクラッチモデラーなる恐ろしい達人もおられます)、やはり趣味としては深いと思う。



さて、リアルなEタイプの組立てとなると、その趣味の域もレベルが違ってくる。しかも個人の道楽の世界ではなく、製造元のジャグアー社のビジネスとしてのワークスとなるとエンスージアストが泣いて喜ぶ。かつての名車をリボーン(再生)しようという試みだ。

新ライトウェイト・Eタイプ
新ジャガー・ライトウェイト・Eタイプ
出典:AUTOCAR JAPAN
新XKSS
新ジャガー・XKSS
出典:Autoblog Japan
再生ランドローバー・シリーズI
出典:WebCG
再生初代レンジローバー
再生初代レンジローバー
出典:Autoblog Japan

最近まで知らなかったのだけど、ジャガー・ランドローバー(JLR)社が2014年からスタートした「リボーンプロジェクト」でまず生産継続が決まったのがライトウェイト・Eタイプ[1]。第2弾として2016年のXKSS生産継続[2]、さらにランドローバー・シリーズI[3]と初代レンジローバーのレストレーション(復元)発表[4]。そして、2017年のジャガー・Eタイプ・シリーズ1のレストレーションだ。ここでいう「生産継続」は、それが生産されていた当時、計画されながら使われなかったシャシーナンバーを数十年振りに生産を「再開」する車両に割り当てるというもの。だが、これらは法規的に英国内での公道走行ができないらしい。一方、レストレーションの方は、既に市場に出回っている旧車をドナーとして用いるフルレストアなので、車のアイデンティティには何ら問題が発生しない[5]。

JLR Classic Works
JLR Classic Works
出典:Autoblog Japan

これらリボーンプロジェクトの拠点となったのが、英国コンヴェトリー東南のライトン・オン・ダンズモアにあるクラシック・ワークス。JLRが巨額を投じて2017年夏、正式にセンターとしてオープンした。Eタイプ・シリーズ1のリボーンもここで行われ、そこでの徹底したオリジナル再現の技・拘りはオクタン誌の2017年秋号にも詳しく解説されている[5]。詳細は誌に譲るとして、フルレストアだから基本は再生可能なオリジナルパーツは修復してリユースしたり、極力当時の製造方法を踏襲して再生する。しかし、当然修復できないパーツは一から作るしかない。そこはこのプロジェクトの強みである製造元でレストレーションしていること。オリジナルの図面が保管されているので(もちろん作業工程のドキュメントも残っているだろう)、必要なパーツをオリジナル通りのスペックで作ることができる。塗装も工場出荷時のカラーが推奨されているが、環境保護法など時代に応じたレギュレーション変更もあるため、そこは100%オリジナル通りという訳にはいかない。

Jaguar E-Type Restration
出典:Autoblog Japan

しかし、ボディパネルを新しく作るとなると、完璧な再現はさらに困難を極める。3DのCADなんかなかった時代のクルマだから、図面から流麗なボディラインを正確に読み取ることはできない。設計図面は現場の解釈で、現物合わせされていたからだ。そこで徹底したリバースエンジニアリングが行われた。アメリカから入手したドナー車のスポット溶接を剥がして細部まで分解、レーザースキャンして外観形状の極めて精密なデータを取得した。プレスの型も残っていたというから、データと照らし合わせれば職人がどの部分をどのように叩いたか、その掌紋も識別できたという。こうして基本プレスを行った後、ハンマーで叩く、レーザースキャンして再び叩くことで恐ろしく手間暇かけてリファインされた極めてオリジナルに近いEタイプが、28万5,000ポンド!(約4,300万円、1ポンド=150円換算)と引き換えに手に入る[5]。高いと感じるか、安いと感じるか、いかがでしょう?まあ、ディアゴスティーニもレストア車も無縁の私としては、絵本とせいぜいトミカサイズのミニカーくらいで、タイプEを楽しませてもらおう。

じょうようしゃ
絵本『じょうようしゃ

そして時代の流れというべきか、この世界一美しいクルマは電気自動車(EV)としても蘇った。ベース車の1968年式Eタイプ・シリーズ1.5・ロードスターに電動パワーユニットを搭載した「E-TYPE ZERO」もまた、コヴェントリーで作られた。「E-TYPE ZERO」専用に開発されたパワーユニットは、出力220kW(シリーズ1.5の4.2ℓエンジンは出力198kW=265hp[6])で0-100が5.5秒の加速性能を持ち、オリジナルのシリーズ1より1秒も速いらしい。フロントに配置された容量40kWhのリチウムイオンバッテリーは、オリジナルの直列6気筒XKエンジンとほぼ同じ寸法、重量に設計され、そのすぐ後ろに搭載される電動モーターもオリジナルのギアボックスと同じ場所に収まるよう設計されたのだという。つまり車体構造やレイアウトをいじらずに、前後重量配分もほぼオリジナルと同等にすることで、クラシックEタイプの基本性能や乗り味を変えることなく、環境に優しい最新の電動化技術で生まれ変わった[7]。これぞエンジニアの仕事、リスペクトしてしまう。

E-TYPE ZERO 電動パワーユニット
E-TYPE ZERO 電動パワーユニット
出典:Octane


一方、我が国では頑なに伝統を固執する某協会の是非が問われているが、伝統は守るだけでなく、時代に合わせて変化する美学もあるということを、このリボーンプロジェクトから学んでもよいのではないだろうか。





[参考・引用]
[1]宝石のような6台──ジャガーが幻のEタイプを復刻販売、小川フミオ、GQ、2014年5月21日、
https://gqjapan.jp/car/news/20140521/jaguar-lightweight-etype
[2]ジャガーの伝説がよみがえる──マクイーンも愛したXKSSが再生産、小川フミオ、GQ、2016年11月19日、
https://gqjapan.jp/car/news/20161119/jaguar-xkss
[3]ランドローバーのクラシック部門が、新車同様にレストアした「シリーズ I」を25台限定で販売!、Autoblog Japan、2016年4月11日、
https://jp.autoblog.com/2016/04/10/land-rover-series-1-reborn-restoration/
[4]ランドローバーのクラシック部門が、新車同然にレストアした初代「レンジローバー」を10台限定で販売!、Autoblog Japan、2017年2月7日、
https://jp.autoblog.com/2017/02/06/land-rover-range-rover-reborn-classic-restoration-new/
[5]コヴェントリーの絶頂期、Mark Dixon、小石原耕作・訳、Octane、2017 AUTUMN、Vol.19、オクタン日本版
[6]ジャガー・Eタイプ、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%BBE%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97
[7]走り続けるために創られた、最新のクラシック・ジャガー 2017 JAGUAR E-TYPE ZERO、Octane、2017年12月7日、
https://octane.jp/topics/car/-2017-jaguar-e-type-zero.html
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[ 2018/04/08 22:22 ] cars/車のお勉強 | TB(0) | CM(0)

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