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事故は起きるものさ

事故は起こるもの
出典:https://www.youtube.com/watch?v=LjPllw4WyBw

裸芸で2017年をなんとか持ち堪えたアキラ100%。元旦のお笑い番組の生放送でついに失敗、股間の一部を公共の電波にさらけ出してしまうという放送事故を起こしたのだという[1][2]。私はその放送を見ていなかったが、既にUPされていたYouTubeを見るとあー確かにやらかしている。芸名の“100%”は絶対に失敗をしないという彼の強い意気込みなのだろうが、失敗(=事故)は必ず起きる。『ジュラシックパーク』でも学んだよね。まともな製造業であれば、起きるという前提で何重もの予防策を張っておく。先日紹介した『ぶつからないクルマのひみつ』もそのことを伝えている。もちろん交通事故ゼロを最終ゴールに据え、スバルもその他の自動車メーカーも、アキラ100%と同じ意気込みで「見る(自動運転の時代では特に)、走る、曲がる、止まる」の精度を100%に近づけようと、万が一事故が起こっても被害を最小限にしようと日々研究開発している訳だ。それでも事故は起きる。その確率を限りなくゼロにするために彼らは何をしているのか。『ぶつからないクルマのひみつ』に紹介されているスバルの安全に関する考え方を参考に、事故について少し考えてみよう。

彼らはクルマの安全設計(完成車車検のような安全点検とはまた次元の異なる作業である)を段階的に捉えていて、最初の段階を「ゼロ次安全」と呼んでいる。危険を遠ざけるにはまず運転しやすい設計をすることだという考えである。運転席から前後左右をしっかり確認できるように、視界を広くするとか、シートを長く運転しても疲れにくいようにするとか、スイッチ類を操作しやすいように配置するといった、運転操作する人間の特性に合わせて道具を人間工学的に設計するということだ。アキラ100%でいえば、あの神業ともいえるお盆の回転を実現するために、重さとか直径とか自分がもっとも扱いやすいお盆をあらゆる商品の中から試行錯誤して探し出すとか、彼専用に作られたスペシャルなお盆を用意するとかである。なお、彼の命より大切な小道具は100均で購入の模様[3]。

ゼロ次安全
ゼロ次安全(『ぶつからないクルマのひみつ』より)

その次の段階は「走行安全」。これは様々な天候や路面状況でもいつもと同じような安定した走りで事故を防いだり、万が一、事故になりそうになったときでも、クルマが不安定にならずに、安全に回避することである。エンジン・動力性能であったり、車体のフレーム剛性であったり、ステアリングやブレーキなどのシャシー性能といったクルマの基本性能群ということになる。アキラ100%でいえば、テレビ局や地方営業での屋外パフォーマンス、また生放送中といったいかなる環境下においても、常に安定した芸を見せるため、日々の練習によって技を研きあげるということになるだろう。

走行安全
走行安全(『ぶつからないクルマのひみつ』より)

次は「予防安全」。危険な状態を予測して、未然に事故を防ぐことである。「アイサイト」のように衝突の危険性や見づらい方向から近づくクルマを警報したり、見えにくい所をカメラ映像で表示したりして、ドライバーが見落としそうなところを教えてあげることである。アキラ100%でいえば、予め録画撮りをしておくとか[4]、生放送であれば前貼りをしておくか、すぐに別の画面に切り換えられる状態にしておくといったことなのだろう。

予防安全
予防安全(『ぶつからないクルマのひみつ』より)

録画しておいてコマ送りしたら見えるんじゃないかという人もいるかもしれないが、通常の地上デジタル放送で使っているカメラのフレームレートは29.97fps(frames per second)、つまり1秒間に30コマ撮っているので、このレートであれば、ブレて見えないことをアキラ100%は全て計算づくだ。じゃあハイスピードカメラではどうなのか。TVでアホな検証をやってました。1秒間で2000コマ(2000fps)のスーパースローではガッツリ見えている。とはいえ通常の録画放送では計算上見えないはずである。しかし今回は生本番だったので、予防安全策としての前貼りはしていたのではないかと思うが、コマを送れば前貼りとも“棹”ともつかないビミョーな映像が映り込んでいる。常識的には(前貼りを)しているはずだけど、真相はどうなのだろう。事故後は画面がMCに切り換えられたようだが、事故の瞬間は公共の電波に乗った。その後リベンジマッチまで行われたのだというから、意地というか、ここまでリスクを背負ってまで芸(技)を披露しなくてはならない芸人とは難儀な職業である。

アホな検証実験…オモロすぎる


その前貼りだって外れちまうことがあるかもしれない。今回のようにその瞬間で画面を切り替えるなんて至難の業だ。万が一放送事故が起きてしまったとき、ダメージを最小限に留める最終段階を、自動車では「衝突安全」と呼ぶ。乗る人をあらゆる衝撃から守る安全ボディの工夫や、乗員に衝撃を与えないようにエンジンの取り付け方を工夫してクルマの全ての要素で乗員や歩行者の被害軽減を考えている。シートベルトやエアバッグの装備もその一つだ。最近は歩行者用エアバッグなんてものもあるんだ。放送事故が起きてしまった今、「衝突安全」に相当する対応はどのようなことになるのだろう。既にYouTubeなど動画サイトへのスロー動画が流出しまくっているが、著作権を盾に徹底的に削除依頼するとか(所詮イタチごっごだけど)、警察や都、放送倫理・番組向上機構(BPO)などに十分根回しておくことなのかな。完璧に見えちまったら局やアキラ100%の謝罪会見ということもあり得るが、とりあえずは関係各所へ火消しに回るということなのだろう。また失敗をしたことで、今後慎重になりすぎて芸に切れがなくなる恐れのあるアキラ100%や、その場にいた観客の心のケアも「衝突安全」の一つなのかもしれないね(笑)。

衝突安全
衝突安全(『ぶつからないクルマのひみつ』より)

このように安全芸100%はあり得ない訳だから、アキラ99.9%に芸名を変え、さらに芸や技を研くことで、今後失敗ゼロが続いて行ったら、毎年アキラ4ナイン(99.99%)、5ナイン(99.999%)と格上げしていったらどうだろう。今回の事故、個人的にはそれほど大騒ぎになるような話ではないと思っている。そもそも誰が被害者なのだ。会場の観客は期待していたんだろうし、放送を不快に思う人が被害者なのか。不快ならば見なければいい。自動車事故と違って、イチモツが見えたところで誰かが死ぬ訳でもない。そもそも下半身を公共の電波で晒すことが公然わいせつ罪(※)とは、何か臭いモノに蓋をするようで生命創造の“ご本尊”に対して失礼ではないか。神聖なモノであるがゆえ、お見せできないというのであればわかるがね。それに鶴瓶さんの放送事故に比べればカワイイもんだ。

(※)わいせつ罪が問われるとすればその行為(失敗も含めて)が故意だったかどうか。本人が見えるかもしれないと思っていれば「未必の故意」が認定され、公然わいせつ罪にあたるが、前貼りをしていれば公然わいせつ罪にはならないそうだ(聡いアキラくんはきっとしているよ)。ただし、迷惑防止条例違反になってしまう可能性はあるとのこと[5]。

鶴瓶師匠
元祖放送禁止芸人 鶴瓶師匠
出典:http://www.tv-tokyo.co.jp/kirakiraafro/news/images/140924_kamitsurube.jpg

まだ無名時代の笑福亭鶴瓶師匠が、テレビカメラの前で股間を露出、カメラに股間を押し付けてそのままスタジオから強制退去させられたというのは有名な話。私は見ていないけれど、彼は若い頃から危険極まりない芸人として知られていた(『突然ガバチョ!』はよく視てたなあ)。今回と同じ放送局による『27時間テレビ』でも師匠は放送事故を起こしている[6]。“前科”のある彼を裸の状態で生放送することがどういう結末になるかは、テレビマンにとっては十分に予見できることで、このケースはテレビ局の「未必の故意」が認められると思う(実際には罪に問われなかったと思うが)。今回も半分は事故を期待していたのではなかろうか。なんてたってあの局なので。

英原発資金支援のスキーム
英原発資金支援のスキーム[7]

確かにくだらないっちゃくだらない宴会芸レベルだけど(芸を極めた歌丸さんからしてみれば怒り心頭なのも理解できる)、事故を想定できながら(想定外なんてウソ)、ほとんど「予防安全」を無視し、事故が起きた後も「衝突安全」が全く機能せず、無策のまま無駄に時間とカネだけを費やす、しかも他の発電所は安全だと平然と言い切れる原発ムラの人たちの方がよっぽど罪深い。先日、日立が英国で進める原発新設プロジェクトに対して、事故などによる貸し倒れに備え、日本政府が全額を債務保証するということがニュースになっていた[7]。福島の原発事故にも実質国民の税金が注入されているというのに、どうして日英の特定企業や銀行の負債まで我々が面倒見なけりゃならんのだ。英国で大地震・大噴火の可能性は低いだろうが、テロや紛争による原発事故の可能性だってある。それとも、何が起きようともアキラならぬ日立100%という想定なのだろうか。経産省幹部は技術を絶やさないためにも原発輸出は不可欠と語るが、国内の事故処理を通じて汚染除去や廃炉に特化した研究開発を進めれば、原子力技術は絶えない。技術課題が目の前にあるのだから。むしろ他国も含め必ず必要になる技術だ。このブルーオーシャンに強みを持てば、それこそ引く手あまたの儲かる輸出技術になり得るはずだ。普通、ここまで財務リスクの高い事業は手を出さないのが経営の鉄則。東芝もそうだったけど、経産も含めとにかくこれまでの戦略モデルを変えようとしない原発ムラの面々は頭がイカれているとしか言いようがない。叩くのならばアキラ100%よりも彼らの方だろうが、日立の話はほとんど主要なメディアでは報じられていない。

HCCIエンジン
HCCIエンジン[10]
VCR機構
可変圧縮比(VCR)機構[11]:原理を理解するのは難しそうだが、複式のリンク機構がメカメカしくて機械系の私にとっては学生時代の機構学のテキストみたいで自動運転よりワクワクする.中核部品のハーモニックドライブは日立オートモーティブ製なんだとか.

日産の中でもEV派とICE(内燃機関)派の争い?

ところで電気自動車がまだまだ未熟な技術(特に電池)にも関わらず[8]、今世界中が急激に内燃機関からEVへシフトし始めていたことに少々違和感を覚えている。311以降、原発稼働や新設にブレーキがかかってしまった以上、EVの“燃料”となる電気の発電は、多くを化石燃料で賄っている。個人的にはCO2=地球温暖化元凶論には懐疑的なんだが、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、安定供給や効率の問題がまだ十分に解決されていないから、今後急激にEVが普及すれば、化石燃料発電では温室効果ガスの削減につながらず原発に頼らざるを得なくなってくる。しかし福島の現状をみれば、原発の予防安全や事故対策に莫大なコストがかかることは明白だ。一方、点火プラグがいらなくなるマツダの予混合圧縮着火(HCCI)や圧縮比を自在に制御できる日産の可変圧縮比(VCR)技術など[9][10][11]、これまで夢とされてきた画期的な高効率・低燃費エンジンが開発・市販化が予定され、e-PowerのようなシリーズハイブリットやレンジエクステンダーなどEV寄りの現実的なパワトレも量産化が進む中で、何故右にならえでEVシフトに急展開なのか。確かに自動運転と相性がよいのはEVだけど、自動運転だってまだ先の見えない技術だ。内燃機関全廃を打ち出したのは、主に英国、フランス、中国と原発推進派の国々である。結局これらの国は、電力を原発で賄いたいのだ。これまでも言ってきたが現代社会の潮流はエネルギーマフィアの覇権争いで決まる。技術の良し悪しじゃない。エンジニアは常にカネと政治力に振り回されるのだ。今回は原発推進派が巻き返しに出たのだろう。でも事故やそれに伴う財務リスクは付きまとう。その保証を海の向こうの日本政府が請け負ってくれるというのだからこんなおいしい話はない。じゃあ日立さんにお願いしましょうかと。日本にとってはバカみたいな話なのだけど。

中西宏明
次期経団連トップに就くとされる中西宏明・日立会長[12].日立、少し調子に乗ってる?

昨年は原発事故を契機に経営が傾いた東芝にとっては厳しい1年であり、我々にとっては市場ルールを守れない大企業が退場もなく手厚く保護されることに法令順守なんてなんの意味もないことがよくわかった1年だったが、日立の東原社長は「原発は基幹電源」と断言し[12]、中西会長は経団連のトップにつく[13]。この国はいったいどこに向かおうとしているのか。あれだけの惨事を起こしてなお、事故をまじめに想定していない原発事業を持つ他の日本企業、日立、三菱重工も東芝やアキラ100%のように、いずれポロリとやっちまうに違いない。どんなに周到に準備しても事故は必ず起きるものである。人間が作り出したものである以上。



真面目なんだか不真面目なんだかよくわからないネタになってしまいました。スバルさん、学研さん、こんな下ネタの題材に取り上げてスミマセン。スバルは好きなブランドなので、世間の冷たい視線に負けず、頑張って欲しい。他言に惑わされず、製品の安全にまじめに取り組んでいれば、いつかきっと信頼を取り戻すときはやって来る。

[参考・引用]
[1]アキラ100%、ついに生放送で失敗 「レッドカーペット」スタジオ騒然、スポーツ報知、2018年1月1日、
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20180101-OHT1T50127.html
[2]アキラ100%失敗の放送事故、「不快&擁護」の両極端に、Lomero、2018年1月1日、
https://www.lomero.net/2018/01/01/akira100/
[3]アキラ100%失敗!前貼りしてる?してない?爆笑ヒットパレード、日々のつれづれ、2018年1月1日更新、
https://inu11neko22.com/akira100
[4]アキラ100%は「生」じゃなかった!…FNS歌謡祭“放送事故警戒”で、スポーツ報知、2017年12月13日、
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20171213-OHT1T50179.html
[5]アキラ100%、正月の生放送であわや放送事故…「マッパ芸」失敗は公然わいせつ?、西口竜司、弁護士ドットコムNEWS、2018年1月6日、
https://www.bengo4.com/internet/n_7237/
[6]『27時間テレビ』で伝説になった笑福亭鶴瓶の露出、こじへい、90sチョベリー、exciteニュース、2016年3月9日、
https://www.excite.co.jp/News/90s/20160309/E1457066185235.html
[7]原発輸出 政府が債務保証 大手銀など1.5兆円融資 英で新設、横山三加子・片平知宏、毎日新聞、2018年1月3日、
https://mainichi.jp/articles/20180103/ddm/001/020/121000c
[8]過渡期のEVは「待ち」が正解。航続距離ほか大マスコミや世間が誤解しているEVの真実、清水草一、日刊SPA!、2017年12月17日、
https://nikkan-spa.jp/1434595
[9]マツダと日産が「究極の次世代エンジン」を2018年に搭載?、Avanti Yasunori、clicccar.com、2017年1月12日、
https://clicccar.com/2017/01/12/434698/
[10]マツダが世紀の大発明!HCCIの新エンジン「SKYACTIV-X」を2018年度に新型アクセラから投入、newcars.jp、2017年1月9日、
https://newcars.jp/news/mazda-hcci-2018/
[11]日産の「世界初」可変圧縮比エンジンは新型「QX50」に、旧モデルから燃費3割改善、
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1711/30/news038.html
[12]日立製作所 東原敏昭社長「原発は基幹電源」、古屋敷尚子、毎日新聞、2017年12月19日、
https://mainichi.jp/articles/20171219/ddm/008/020/047000c
[13]経団連次期会長、日立・中西会長で調整へ 年明けに内定、朝日新聞、2017年11月18日、
https://www.asahi.com/articles/ASKCK4W4GKCKULFA014.html
[14]ぶつからないクルマのひみつ、橘 悠紀・構成、山口育孝・絵、富士重工業・協力、学研まんがでよくわかるシリーズ123、2017
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[ 2018/01/08 21:35 ] cars/車のお勉強 | TB(0) | CM(0)

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